広報誌「かけはし」
 
■2014年1月 No.508

健保連大阪連合会会長  安藤 力

 新年あけましておめでとうございます。皆様にはご健勝にて新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 昨年を顧みますと、安倍政権がスタートして1年。また、昨年夏の参議院選挙では、自民党・公明党が圧勝して、ねじれ国会が解消しました。これでとりあえず安定した政治体制となり、経済界は少しずつ明るさをとりもどしつつある状況になりました。
 しかしながら、財政・社会保障問題をはじめ、外交・安全保障・TPP・エネルギー・環境など、諸難題を抱えている日本です。政治には、これらの克服のために、政治家(ステートマン)としての力を十分に発揮していただき、明るい将来がみえる日本を構築してもらいたいと強く期待しているところです。
 社会保障制度改革の動きは鈍く、昨年8月の国民会議報告書を踏まえて、12月に検討項目と改革の中長期的な工程の道筋を示したプログラム法が成立しました。しかし、具体的改革に向けた政治の場での議論はこれからです。われわれは、この議論の行く末を注意深く見極めながら、時宜を得た運動を力強く展開する必要があります。
 健保組合の財政は、毎年、過去最高額を記録し続ける国民医療費と、とりわけ高齢者医療への拠出金により、極めて厳しい状態が続いています。一刻の猶予も許されません。
 平成25年度予算の大阪の状況をみると、赤字組合の割合が81%強、142組合にものぼり、過去6年間大幅な赤字が続いています。また、高齢者医療制度への支援金・納付金の総額は3600億円を超え、保険料収入に対する割合も過去最高の46%超となっています。
 これまで健保組合は、高齢者医療費の重い負担に耐えながら、組合の存続と運営のため、労使の協力で、保険料率を引き上げ、また積立金を有する組合は、それを取り崩しながら対応してきました。しかし、すでに多くの組合が解散するという事態に至っています。早晩、健保組合制度そのものの存続が危うくなりつつあります。
 このような財政危機を乗り越え、健保組合と、さらには国民皆保険制度を今後とも守っていくために、制度の中核を担ってきた健保組合が、全力で難局を打開していく必要があります。
 われわれは昨年11月、「改革の実現と健康保険組合の存続なくして皆保険の維持なし!」を合言葉に、健保組合全国大会を開催しました。大会では、
・前期高齢者医療への公費投入の早期実現
・高齢者医療の負担構造改革と持続可能な制度の構築
・持続性ある制度に不可欠な医療費適正化の推進
・保険者機能を発揮できる健康保険組合方式の維持・発展
の4つのスローガンを、全健保組合の総意として決議し、その実現を誓い合いました。
 今年は、真の改革が実現するかどうかの瀬戸際の年です。とくに前期高齢者医療への公費投入については、ぜひとも今年中に具体的な目途をたてる必要があります。
 健保連本部・各都道府県連合会・各健保組合が、よりいっそう連帯して、われわれの持てる力を十分発揮していきたいと思います。どうか引き続きご理解ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、本年も皆様がご健勝・ご多幸で活躍されることを心から祈念して、新年のあいさつとさせていただきます。