広報誌「かけはし」
 
■2013年6月 No.501
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●縁の下の力持ち…
 

 前職で企業の社会保険担当として扶養や給付の業務に従事したこともあり、「健康保険組合で仕事がしたい!」と、当時設立1年ほどの当組合に入職しました。これまでに、健康保険法の大きな改正を経験し、右往左往しながら手探りで健康保険の制度の理解に努めてきました。組合員や事業主にわかりやすく丁寧な説明と親切な案内をモットーに、現在も日々精進中です。
 先日、医療費に関する問い合わせで組合員から言われたひと言、「自己負担以外の医療費は市町村が支払ってくれているんじゃなかったの!?」…。一般的にも健保組合が、なにをしているのかをよくご存じでない人が多いとは思っていましたが、このひと言を聞き残念に思ったと同時に、組合員の健康を支える健保組合の意義を理解してもらう機会が少なかったことを反省しました。
 組合員や事業主の「縁の下の力持ち」としてこの仕事にやりがいを感じています。ただ当組合もご多聞にもれず、支援金等が保険料の約6割を占め、財政は厳しい状況にあります。
 支援金等が高齢者を支える制度であることは十分理解していますが、健保組合が現役世代の「縁」の下ではなく高齢者の「¥」になってしまっている。このいきすぎた現状はどうなの?と健康保険業務に携わる者としてどうにもならないジレンマを感じています…。

(第1地区 S・D)

   
●「あとは……」ではなく 責任を
 

 会社の職制上、健保組合のほか人事担当も兼ねています。人事部にとっていま(4、5月)は、来春入社社員の採用が佳境を迎えた時期です。多くの学生と接しますが、1980年代に卒業した「新人類」世代の私にとっては、就職活動の様変わりには驚くばかりで、その激烈な競争は気の毒になるほどです。
 こんな状況のなかでクローズアップされているのが「世代間格差」です。ある大学の先生の推計では、年金、医療、介護といった社会保障に関して、支払い(負担)に対して受け取るサービス(受益)には、たとえば1940年生まれと2000年生まれには8000万円の差があるそうです。
 この問題では「逃げ切り世代」という言葉もあります。ちょうど、私の世代から上の世代あたりを指すのでしょうか。マルクスの「資本論」には「わが亡きあとに洪水はきたれ」という言葉が出てきます。フランスのルイ15世の愛人が、宮廷のぜいたくによる財政の悪化を指摘された際に発したそうですが、日本的にいえば「あとは野となれ山となれ」。
 健保財政がますます厳しくなっています。もちろん、政治の責任も大きい訳ですが、年配者も「あとは……」ではなく、若い世代が制度の恩恵を受けられるように知恵を絞るという意識だけは持ちたいものです。

(第2地区 M・Y)

 
●みーんな3割負担!
 

 "日本国民は一生の間にどのくらいの医療費を使うのか"ご存じだろうか?
 厚生労働省が発表している「生涯医療費(2010年度推計)」によると、生涯医療費の総額は2400万円。ちなみに男性は2300万円、女性は2500万円となっている。
 そして、5歳刻みの年齢階級別では、最も高額なのが75〜79歳で284万円、続いて80〜84歳で268万円、3番目が70〜74歳で257万円となっており、驚くことに、70歳以上の高齢者で生涯医療費の49%を使っていることになる。
 しかも、現段階では、この70歳以上の高齢者(一般の人)の窓口負担は1割に軽減されている。生涯医療費の約半分を使用する高齢者の自己負担がわれわれ現役世代の3分の1というのは、いささか疑問である。医療保険制度は、負担と給付の両面にわたり可能な限り公平でなければならない。
 高齢者の医療費が増えるのはある意味当然のことかもしれない。しかしながら、われわれ現役世代が負担している高齢者医療への拠出金はもう限界に達している。医療保険制度に関しては、その財政状況が極めて深刻化しているのに、高齢者医療制度の見直しは先送りされたままである。少なくとも、これからは現役世代も高齢者も窓口負担は公平にすべきではないだろうか。

(第3地区 Y・F)
 

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へ送ってください。
問い合わせは、健保連大阪連合会事務局へ。(06-4795-5522)