広報誌「かけはし」
 
■2013年6月 No.501


 健保法等一部改正案が5月24日、参院本会議で可決、成立した。後期高齢者支援金の3分の1総報酬割が、25年度からの2年間に限って延長される。締めくくりの審議が行われた23日の参院厚生労働委員会では、拠出金によって運営困難な保険者に対する財政支援の継続・充実――など4項目が附帯決議された。

 5月24日に成立した健保法等一部改正法の骨子は、@平成22年度から24年度まで実施された協会けんぽに対する特例支援措置を25年度、26年度の2年間に限って延長、A健保と労災の適用関係の整理、B協会けんぽへの調査権限の付与、C保険者の後期高齢者支援金の加算・減算措置実施(27年度から)。
 法案の締めくくりの審議が行われた23日の参院厚生労働委員会では、拠出金によって運営困難な保険者に対する財政支援の継続・充実――など4項目が附帯決議された。
 被用者保険の保険者が拠出する後期高齢者支援金の算定にあたり、3分の1総報酬割を導入する措置は、22年度から24年度までの3年間実施された。今回、さらに2年間延長される。この措置は本来、国が負担すべき協会けんぽの給付費等に対する国庫補助の財源を、健保組合等に肩代わりさせるもの。健保組合・健保連は、この措置の導入時から一貫して反対してきた。
 改正法が成立した24日、健保連の平井克彦会長は、「同法の成立は極めて遺憾」とし、「参院の附帯決議の趣旨を尊重し、高齢者医療への拠出金負担に苦しむ健保組合に対する財政支援の継続・充実、ならびに高齢者医療にかかる若年層の過重な負担が軽減されるよう公費負担の充実を望む」とのコメントを発表した。
 参院の附帯決議は次のとおり。
附帯決議
 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、後期高齢者医療制度及び前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整による拠出金によって、運営に困難をきたしている保険者に対する財政支援を、同法案の措置期限である平成26年度までの間、継続し、かつ更に充実すること。
二、高齢者医療制度に係る保険者間の費用負担の調整については、その再構築に向け、広く関係者の意見を聴取するとともに、若年者の負担が過大なものとならないよう、公費負担を充実すること。
三、協会けんぽについては、中長期的な財政基盤の強化を図るため、国庫補助率について、健康保険法本則を踏まえて検討し、必要な措置を講ずること。
四、国民健康保険制度については、適切な財政支援を行うとともに、平成27年度からの都道府県単位の共同事業の拡大の円滑な実施に努めること。
 上決議する。
マイナンバー法案も成立
 「マイナンバー」関連法案も5月24日、参院で可決、成立した。国民一人ひとりに番号を付与するマイナンバー制度は、社会保障・税制度の効率性・透明性を高めるためのインフラにすることがねらい。「社会保障・税一体改革」の運用面での重要なツールとなる。
 また、災害時の被災者支援など、防災面での活用も想定されている。政府は、平成28年(2016年)1月から順次、導入開始を見込んでいる。
 マイナンバー制度により、国民はインターネットで、受けたい社会保障サービスや、その給付歴などを知ることができる。いわゆる「マイポータル」の仕組みが確立する。
 仕様によっては医療サービスの提供・利用方法や、医療保険の手続き・事務の流れがガラッと変わる。現段階では、初期の設定費用、運用・メンテナンス費用、情報更新の頻度と量・作業負荷など未確定な部分が多い。
 健保連は、法案成立に先立ち4月10日に、国保中央会と連名で「番号制度等に関する医療保険者としての要望書」を厚労省あてに提出している。
 要望書は、マイナンバー制度の導入は国のインフラ整備事業であるところから、@初期費用、維持費等は全額公費で賄う、A具体的な実施範囲、実施時期を含めて幅広く医療分野のICT化の全体像を示す、B情報連携基盤を早期に構築する、C国民にわかりやすく納得できる説明を行う――など4項目を要望している。