広報誌「かけはし」

■2013年5月 No.500
 厚生労働省保険局医療課から4月24日、柔道整復ならびに、はり・きゅう及びあん摩マッサージ指圧療養費に係る疑義解釈資料が、地方厚生局、都道府県あてに送付されました。5月1日からの療養費改定部分についての疑義解釈を、Q&A形式にまとめたものです。内容は次のとおりとなっています。

柔道整復施術療養費に係る疑義解釈資料の送付について

 「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の一部改正について(通知)」(平成25年4月24日保発0424第1号)等については、「柔道整復の施術に係る療養費について(通知)」(平成25年4月24日保医発0424第1号)等により、平成25年5月1日より実施することとしているが、今般、その取扱いに係る疑義解釈資料を別添のとおり取りまとめたので、参考までに送付いたします。

〈別 添〉
適正化のための運用の見直し関係
【3ヶ月を超えて頻度の高い施術を行う場合の理由書の添付の関係】
(問1)
 打撲・捻挫の施術が3月を超えて1月間の施術回数の頻度が高い施術を行う場合には、長期施術継続理由書に、負傷部位ごとに、症状及び3月を超えて頻度の高い施術が必要な理由を記載することとされましたが、その様式及びその記載方法はどのようになるのか。
(答)
 様式については、「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について(通知)」(平成9年4月17日付保険発第57号)の別紙「柔道整復師の施術に係る算定基準の留意事項」第5の3(1)の別紙様式1(長期施術継続理由書)を活用されたい。
 なお、記載方法については、
@ 打撲・捻挫の施術が初検の日から3月を超えて継続する場合(Aに該当する場合を除く)には、長期施術継続理由書の上欄部分に、3月を超えて施術が必要となる理由等(以下「長期施術継続理由等」という。)を
A 打撲・捻挫の施術が初検の日から3月を超えて継続し、かつ、1月間の施術回数の頻度が高い場合には、長期施術継続理由書の下欄部分に、3月を超えて頻度の高い施術を行う理由等(以下「長期頻回施術理由等」という。)を
記載することとなるので、長期施術継続理由書への記載は上欄部分又は下欄部分の記載のいずれか一方に行うこととなる。
 したがって、申請書の摘要欄に記載する場合にあっては、長期施術継続理由等又は長期頻回施術理由等のいずれかを記載すれば足りることとなるので、この点について留意されたい。
(問2)
 「施術が3月を超えて継続する場合について、1月間の施術回数の頻度が高い場合は、・・・」とあるが、頻度が高い場合とは何回を指すのか。
(答)
 平成24年3月12日付け保険局医療課長、保険課長、国民健康保険課長及び高齢者医療課長連名通知「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」(保医発0312第1号、保保発0312第1号、保国発0312第1号、保高発0312第1号(以下「平成24年3月12日通知」という。))において示してあるのと同様に、頻度の高い施術とは、1月当たり10〜15回以上であるものを想定している。
【経済上の利益の提供の関係】
(問3)
 「経済上の利益の提供により、患者が自己の施術所において施術を受けるように誘引してはならない」とあるが、「経済上の利益の提供」とは主にどのようなことを指すのか。
(答)
 温泉旅行のプレゼント、商品の配付等の経済上の利益の提供により患者を誘引することを指す。
【申請書の受取代理人の欄に代理記入する場合のやむを得ない理由の関係】
(問4)
 申請書の受取代理人の欄に代理記入する場合の「やむを得ない理由」の例示については、患者から聴取し申請書に記載することは、個人情報保護の観点から問題となるのではないか。
(答)
 施術者が代理記入する場合のやむを得ない理由を申請書に記載させることを意図したものではなく、代理記入することが許される場合の例示を、受領委任の協定及び取扱規程に明記することにより、代理記入が真にやむを得ない理由がある場合に限られるという趣旨を明確にするものである。
【申請書への郵便番号、電話番号の記入の関係】
(問5)
 申請書の「住所」欄には住所のほか郵便番号、電話番号の記入を求めることとあるが、郵便番号、電話番号の記載は必ず必要か。
(答)
 患者に郵便番号・電話番号の記入を求めた結果として、患者の理解が得られず、記入がない場合は、これらの記入が無いまま申請書を提出することでやむを得ない。
 従って、郵便番号・電話番号の記載が無いことのみをもって、不支給とする取扱いとはしないものである。
(問6)
 申請書に記入する被保険者等の郵便番号、電話番号は印字で良いか。
(答)
 郵便番号・電話番号を記載することについて、患者の了解を得ているのであれば、印字でも差し支えない。
【柔道整復師の氏名の掲示の関係】
(問7)
 柔道整復師の氏名の掲示は、何処にどの様にすれば良いか。
(答)
 施術所において施術を行う柔道整復師の氏名(下記例示参照)が、当該施術所入り口や待合室などの見えやすい場所に掲示されていれば良い。
(例)
【療養費を請求する上での患者への注意事項の関係】
(問8)
 療養費を請求する上での注意事項の患者への説明は、具体的に何を説明すればいいのか。
(答)
 患者に対し、療養費の支給対象となる負傷の範囲、受領委任の仕組みなどについて、丁寧に説明をしていただきたい。
 なお、別紙(平成24年3月12日通知の別添3−1、柔道整復師の施術を受けられる方へ)を活用するなど、書面による説明でも差し支えない。
【申請書の様式の関係】
(問9)
 申請書の様式については、印刷済みの従来の様式の申請書がなくなるまでの間、取り繕って使用しても問題ないと考えて良いか。
(答)
 そのとおり。
 なお、その場合の修正方法(訂正印不要)は、
@ 後療料の3部位目の逓減率欄の「70」を取消線で抹消し「60」に修正
A @と同じ行の多部位欄の「0.7」を取消線で抹消し「0.6」に修正
B なお、後療料の4部位目の欄は、治癒後、新たに負傷が発生した場合等、適宜、逓減率欄等を修正して使用できるものとする。
別紙
柔道整復師の施術を受けられる方へ

 
対象となる負傷
   
 医師や柔道整復師の診断又は判断により、急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫で、内科的原因による疾患ではないもの
 
健康保険等を使えるのはどんなとき
   
 医師や柔道整復師に、骨折、脱臼、打撲及び捻挫等(いわゆる肉ばなれを含む。)と診断又は判断され、施術を受けたとき。(骨折及び脱臼については、応急手当をする場合を除き、あらかじめ医師の同意を得ることが必要です。)
 骨・筋肉・関節のケガや痛みで、その負傷原因がはっきりしているとき。
  ●主な負傷例
  ・日常生活やスポーツ中に転んで膝を打ったり、足首を捻ったりして急に痛みがでたとき
  ※医師や柔道整復師の診断又は判断等により健康保険等の対象にならないものの例
  ・単なる(疲労性・慢性的な要因からくる)肩こりや筋肉疲労。
  ・脳疾患後遺症などの慢性病や症状の改善のみられない長期の施術。
  ・保険医療機関(病院、診療所など)で同じ負傷等の治療中のもの。
  ・労災保険が適用となる仕事中や通勤途上での負傷。
 
治療をうけるときの注意
   
 健康保険は治療を目的としたものであり、上記※のように健康保険等の対象にならない場合もありますので、負傷の原因は正確にきちんと伝えましょう。
 療養費は、本来患者が費用の全額を支払った後、自ら保険者へ請求を行い支給を受ける「償還払い」が原則ですが、柔道整復については、例外的な取扱いとして、患者が自己負担分を柔道整復師に支払い、柔道整復師が患者に代わって残りの費用を保険者に請求する「受領委任」という方法が認められています。このため、多くの接骨院等の窓口では、病院・診療所にかかったときと同じように自己負担分のみ支払うことにより、施術を受けることができます。
 「受領委任」の場合は柔道整復師が患者の方に代わって保険請求を行うため、施術を受けたときには、柔道整復施術療養費支給申請書の受取代理人欄(住所、氏名、委任年月日)に原則患者の自筆による記入が必要となります。
 施術が長期にわたる場合は、内科的要因も考えられますので、医師の診察をうけましょう。
 平成22年9月の施術分より、窓口支払いの領収証が無料発行されることになりました。医療費控除を受ける際に必要になりますので、大切に保管しましょう。

はり・きゅう及びあん摩マッサージ指圧療養費に係る疑義解釈資料の送付について

 はり・きゅう及びあん摩マッサージ指圧療養費については、「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」(平成16年10月1日保医発第1001002号)等により実施しているところであるが、今般、その取扱いに係る疑義解釈資料を別添のとおり取りまとめたので、参考までに送付いたします。

〈別 添〉
適正化のための運用の見直し関係
【経済上の利益の提供の関係】
(問1)
 「患者が施術者から健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益の提供を受けて、当該施術者を選択し、施術を受けた場合は、」とあるが、「経済上の利益の提供」とは主にどのようなことを指すのか。
(答)
 温泉旅行のプレゼント、商品券の配付等を指すものである。
【申請書の関係】
(問2)
 申請書に申請者の郵便番号、電話番号の記載欄が設けられたが、郵便番号、電話番号の記載がない場合は、療養費の支給が行われないのか。
(答)
 患者による郵便番号、電話番号の記入がない場合であっても、これらの記載が無いことのみを理由として、不支給という取扱いとはならないものである。
(問3)
 申請書の基準様式に免許登録番号欄が設けられたが、施術者登録番号※を記載することでもかまわないか。
(答)
 施術者登録番号の記載で差し支えない。
 施術者登録番号は、療養費の適正な運用のため、公益社団法人日本鍼灸師会、公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会、公益社団法人日本あん摩マッサージ指圧師会及び社会福祉法人日本盲人会連合が、当該法人の会員である施術者毎に、免許登録番号等を基に付与した番号であり、療養費支給申請書の審査に活用するため、保険者等に周知されている。