広報誌「かけはし」
 
■2013年5月 No.500
時評

国民会議に健保連の意気を示そう!

− かけはし第500号に思う −


 先日、「かけはしbP〜bP00」を手に取る機会を得た。昭和46年6月15日の第1号からの歴史をひもときながら、健康保険事業の変遷への認識を新たにした。第1号には、日本医師会の保険医総辞退問題の顛末と、健保連としての主張がいきいきと展開され、回を重ねるごとに論調が厳しさを加える様子がありありと見てとれた。
 また、「時評」は第8号から連載が始まり、「情報提供のみならず、広く議論の場とする」との考えのもと、医療費値上げ、共同事業基金、健康保険法の改正など、往時の旬の話題に言及している。それらのすべてが、激しく移り変わる世相そのものを映す鏡ともいえる内容だ。
 いま、「かけはし第500号」の「時評」を投稿するにあたり、現在の社会保障制度改革の取り組みへと思いがおよぶ。医療と介護をどうしていくか、われわれの世代を遥かに超えた、100年の計をたてねばならない。
 3月27日、健保連大阪連合会総会に来賓として臨席した、健保連本部の白川専務理事は、「これまでよりさらに一歩踏み込んだ提言を、国民会議ヒアリングの場で申し述べたい」と明言された。
 そして、4月4日に行われたヒアリングでは、高齢者医療制度への公費拡充に関して、考え方と所要額、さらには、それによる財源割合への影響について、健保連の主張を開陳された。
 健保連のいろいろな会合で、医療・介護改革への提言を聞くたびに、「その財源はどこから?」との素朴な疑問を感じていた身としては、「その意気やよし!」と喝采をおくるものだが、願わくばさらに、公費拡充の財源の概算見込額程度は明確にすべきではなかったか。
 具体的には、消費税、高齢者患者負担見直し分、医療費適正化等の再配分による効果額などの推計である。加えて、提言実行の結果として、中長期的将来にわたる社会保障改革後の医療保険・介護保険等の予測値を付ければ、申し分ないといえよう。
 政策提言には青写真が不可欠だが、その青写真の精度を増すことで、より発信度の高い提言となる。多くの団体がヒアリングを受けるなかにあって、健保連の意気を示すものとなったと思うのである。
 国民会議の審議は最終段階を迎えようとしている。マスコミを通じたアピールなど、8月21日の期日に向け、可能な限りの提言を重ねたい。国民会議の答申に、健康保険事業の中長期的展望を開く前向きな結論が出ることを、心から期待する。
 もうひとつ、国民会議の結論を具体化すべく、関連法令の速やかな制定と施行が不可欠だ。将来にわたる社会保障改革の道筋について、国民の合意形成は整ったと受け止めている。国政の英断を望む。
  (K・M)