広報誌「かけはし」
 
■2013年4月 No.499


25年度事業計画と予算を決定

 健保連大阪連合会は3月27日、大阪市北区のホテルモントレ大阪で、平成24年度第2回総会を開催した。総会には157組合が出席、委任状提出30組合を含め、合計187組合が参加した。
 総会では冒頭、大阪連合会の安藤力会長があいさつ(下欄に要旨)。続いて、来賓として出席された近畿厚生局の中元京和保険課長があいさつを行った。
 中元課長はこのなかで、平成25年度健保組合予算編成における一般保険料率の現状を説明。それによると、近畿厚生局管内286組合のうち105組合(36.6%)が料率を引き上げ、平均引き上げ幅は9‰、協会けんぽと同じ100‰に引き上げた組合が28組合、それを超える組合が9組合。その結果、管内組合のうち50組合(17.4%)が協会けんぽ以上の料率となっている厳しい状況を示した。
 この後、議事に入り安藤会長が議長となって、日東電工健保組合、大阪府木材健保組合の2組合を議事録署名者に指名した後、議案の審議を行った。
 総会終了後には、来賓として出席された健保連本部の白川修二専務理事が、医療保険をめぐる最近の情勢を報告された。

 安藤会長あいさつ (要旨)
安藤会長
 世の中、季節的にはことのほか寒かった冬を抜け出して、例年になく早い桜の季節を迎えていますが、われわれを取り巻く情勢は、まだまだ暖かい陽光をあびるということにはなっておりません。
 平成24年度予算の大阪連合会の集計をみると、経常収支赤字組合が177組合中、161組合で91%にもおよび、赤字総額は861億円に達する状況です。
 長引く経済環境の厳しさにともなう保険料収入の伸び悩みや、高齢化社会での保険給付、支援金・納付金の増加が影響して、ここ2〜3年でほとんどすべての組合が保険料率の引き上げを余儀なくされるという大変な事態になっています。
 当面の健保組合の運営に関わる政治の動きをみても逆風状態です。1つは、平成24年度補正予算に盛り込まれた、70〜74歳の患者負担割合が1割のまま据え置かれていること、そして平成25年度予算案に盛り込まれた、協会けんぽの特例支援措置を2年間延長する法案が、3月8日に閣議決定されていることです。協会けんぽへの財政支援そのものに反対するものではないが、それはあくまで公費から捻出すべきであり、健保連としては、いわゆる「肩代わり」には断固反対の立場です。
 こうしたなかで、2月28日には施政方針演説が行われました。安倍総理は「持続可能な社会保障制度の構築」として「少子高齢化が進むなか、安定財源を確保して受益と負担の均衡のとれた制度を構築し、自助・自立を第一に共助と公助を組み合わせる」また、「自公民3党間での協議の進展と、社会保障制度改革国民会議での議論を踏まえて改革を具体化したい」との姿勢を示しました。
 われわれは、3党協議と、8月までの国民会議の議論を真剣に見守り、健保組合・健保連がかねてから主張している「高齢者医療を支えるために公費投入を拡充すること」また、「国は増大する医療費を適正化するための具体策を早急に示すこと」をぜひとも実現させなければなりません。
 3月22日、健保連理事会で平井会長は、たいへん心強いメッセージを出されました。そのエッセンスを紹介すると、1つ、とくに8月までは、われわれにとって本当の正念場のときであり、健保組合の将来、ひいては日本の健保制度の将来を決定する年である。2つ、そのためには、「やるべきことはなんでもやる」。3〜5月を準備期間、6〜8月を短期決戦のときと定め、これまでにない規模の要請活動、各組合での決議・声明・署名、他団体との共同活動等を推進する。3つ、健保組合・健保連の総力をあげて国民会議の議論を主導する気概で進もう、というものです。
 大阪連合会としても、本部との連携をさらに密にして、こうした運動を強力に進めて、なんとか「暖かい陽光をあびる年」にしたいと考えています。このために、各組合の皆さまの従来にも増した絶大なご指導、ご協力、ご支援を心からお願い申し上げます。


 ●総会の経過
 議案第1号
 平成25年度事業計画(案)
 議案第2号
 平成25年度収入支出予算(案)
 議案第3号

 平成25年度支出予算の款内各項間の流用を理事会に委任すること

  以上の3議案を一括上程し、いずれも原案どおり承認された。
 議案第4号

 平成24年度被用者保険運営円滑化推進事業会計

 収入支出予算および同説明(案)
  以上、原案どおり承認された。

 ●健康保険組合をめぐる諸情勢
 
(1)「社会保障と税の一体改革」と「社会保障制度改革国民会議」への対応
   昨年8月に社会保障と税の一体改革関連8法が成立し、社会保障制度改革推進法に基づく「社会保障制度改革国民会議」が設置され、議論が開始された。国民会議は、今年の8月21日が設置期限となっているため、精力的に議論を推進してもらいたい。一方、高齢者医療制度等の改革を検討する自公民の3党実務者協議も並行して始まっており、この会議は国民会議への影響力も強い重要な役割を担っているといわれているので、ここでの議論も十分注視していく必要がある。
 政権が交代したことにより、一日も早い景気回復が待たれるところである。我々としては、極めて重要な社会保障制度、とりわけ医療保険制度について、目に見える姿での充実・安定化を示すよう強く望みたい。
 健保組合・健保連では、日本の長寿を支え、国民の健康の維持・増進に大きな役割を果たしている国民皆保険制度を持続していくための具体的方策を国民会議に期待している。中でも、今後の人口構造の変化を見据えた高齢者医療の制度設計では、高齢者と現役世代の負担バランスを見直し、65歳以上の医療費について公費を拡充すべきであり、また増え続ける国民全体の医療費を適正化する施策の具体的推進を国民会議や3党実務者協議の場に訴えていくことが重要である。
(2)健保組合(大阪)の財政状況
   平成23年度決算の経常収支は、全体で769億円の赤字となり、赤字組合は80.9%(144組合)となっており、また24年度予算では、経常収支で赤字額が861億円にものぼり、赤字組合は91.0%(161組合)であり、保険料収入に占める納付金等の割合が50%以上の組合は44%(78組合)にもなっている。
 健保組合では、増大する医療給付費に対応するため、レセプト点検、療養費適正化、後発医薬品の使用促進や各種保健事業など、医療費適正化をきめ細かく実施しているが、納付金等の過重な負担増には対処しきれず、また長引く経済の低迷等により保険料収入は伸び悩み、大半の健保組合が保険料率の引上げを余儀なくされている。
 25年度も、高齢化に伴う医療費や拠出金の負担増加が見込まれており、健保財政は引き続き極めて厳しい環境にある。
(3)大阪連合会の事業等
   大阪連合会では、各健保組合・各地区会をはじめ、理事会・各委員会において常に真摯な議論を重ねて当面する課題に取り組んでいる。
 本年度も、次の事業計画に基づき、所期の目的を達成すべく、次の事業活動を実施する。


事 業 計 画
 
〔基本方針〕
(1)重点事業活動
   社会保障と税の一体改革に対する的確な対応、特に社会保障制度改革国民会議への対応、および保険者機能の強化に向け、会員組合の協力を得ながら、健保連本部との連携を一層密にして、次の事項について取り組む。
 

@理事会・委員会・地区会活動を積極的に推進する。
A健保連の主張を国政の場に反映させるため、政党・国会議員への要請活動を積極的に推進する。
B機関誌「かけはし」やホームページなどの広報活動を通じて、健保連の考え方の周知を図り、理解度を高める。
Cデータ分析事業を展開し、保険者機能強化への支援を行う。
D社会保障と税に関わる共通番号について調査・研究に取り組む。
E健保組合全国大会への積極的な参加を推進する。
F健保組合の円滑な運営のため、行政機関と密接な連携を保つ。
G関経連、連合大阪、協会けんぽ大阪支部との連携を図る。
H医師会等医療関係団体とは意見交換を通じて相互理解を深める。
I大阪府保険者協議会では、医療費の適正化や有効な保健事業について健保組合の意向を反映させる。
J国保運営協議会へは、被用者保険サイドの意向を反映させるよう積極的に参加する。
K「けんぽれん病院情報『ぽすぴたる!』」への登録促進について、引き続き積極的に取り組む。
L健保連地域懇談会では、大阪連合会の意見を反映させるとともに、近畿地区各連合会とは密接な連携を図る。
M他府県の健保組合も加えた保健事業等に取り組み、連帯感を醸成する。
Nその他、時宜に応じた諸対策を実施する。

(2)組織活動
 

 組織活動の強化を図り、次の事項を実施する。

 

@理事会および総会を開催する。
A地区会長会議、各種委員会等を開催する。
B地区会を中心とした諸活動を支援する。

(3)組合運営に対する支援活動
   会員組合の円滑な業務推進に資するため、次の活動を実施する。

@会員組合に提供する情報の充実を図る。
A組合予算編成等事務説明会を開催するなど、行政機関および健保連本部と連携を密にして支援する。
B永年勤続者表彰式を挙行する。
C会員組合の保健事業、医療費適正化対策の推進を支援する。
D会員組合に有効な健保事務、法律、レセプト・保険給付、特定健診・特定保健指導等の相談事業を充実する。

〔事業活動〕
1.広報活動の推進
 広報活動の充実を図るため、次の事業を実施する。
(1)機関誌「かけはし」の発行

@誌面の充実を図り、月1回発行する。
A次の項目を重点的に掲載する。
・社会保障と税の一体改革関連(社会保障制度改革国民会議への対応、健保組合に対する国の財政支援の継続・拡大等)。
・医療費適正化関連と健康づくり関連。
・大阪連合会の事業活動。
・会員組合の財政状況と地区会の事業活動。
・政党・国会議員への要請活動。

(2)広報活動の強化

@会員組合の事業活動の推進に役立つよう大阪連合会ホームページの充実を図る。
A会員組合が行う広報活動に役立つ広報研究会を開催する。
B会員組合の広報活動に役立つ広報資料を提供する。

(3)関係団体等に対する対外広報の強化
   次の関係団体等への機関誌配布を通じ、健保連の主張と事業活動への理解の浸透を図る。

・国会議員(大阪府選出および社会保障関係)。
・経営者団体・労働団体および医療関係団体。
・その他、必要な関係者。


2.会員組合役職員の資質向上と組合業務の改善・合理化の推進
 会員組合の円滑な事業運営を支援するため、次の事業を実施する。
(1)会員組合役職員の資質向上

@事務長研修会を開催する。
A組合業務別実務講習会(適用・給付・庶務会計・徴収)を開催する。
B初任者実務講習会を開催する。
C個人情報保護研修会を開催する。
D後発医薬品に関する講習会を開催する。
E健保事務相談を実施する。

(2)組合業務の改善・合理化の推進
    パソコン研修会を開催する。
(3)保険者機能の強化
    データ分析研修会を開催する。

3.医療費適正化対策の推進
 医療費の適正化対策を推進するため、次の事業を実施する。
(1)行政機関・医療関係諸団体との連携強化

@近畿厚生局・医療関係団体との連携を図る。
A大阪府保険者協議会医療費調査部会との連携を図る。
B国保運営協議会委員の活動強化を図る。

(2)審査支払機関との連絡・調整の緊密化

事務連絡協議会を開催し、審査結果事例等について審査委員との意見交換を行い、結果資料を提供する。

(3)医療費適正化に関する情報の収集と活用

@関係各方面からの情報収集および情報提供の促進を図る。
Aレセプトおよび特定健診・特定保健指導データによる、医療費統計・分析の活用を図る。
B柔道整復療養費に関する情報の収集を行い、適正化を促進する。
C後発医薬品の使用促進を図る。

(4)レセプト点検等に関する研修会の実施

@レセプト確認事務に関する研修会を開催する。
A柔道整復・鍼灸・マッサージ療養費に関する研修会を開催する。
B求償事務に関する研修会を開催する。

(5)医療対策室の活動強化

レセプト・保険給付相談を実施する。


4.保健共同事業の推進
 会員組合における保健事業の円滑な実施が図れるよう支援する。
(1)健康教育の実施

メタボリックシンドローム対策に加えて、がん予防・メンタルヘルス等をテーマに研修会を実施する。

(2)保健師活動の実施

@保健師による特定健診・特定保健指導の円滑な実施を支援する等、相談事業を実施する。
A保健師の資質向上を図るため、研修会等への参加を支援する。
B保健師連絡協議会活動を支援する。

(3)大阪府保険者協議会との連携

保健活動部会との連携を図る。

(4)感染症対策
    エイズ、インフルエンザ等感染症対策の普及啓発に努める。
(5)共同利用施設の契約
    ・保養施設の共同利用の契約。
・プール利用券の斡旋。
(6)健康づくり活動の推進
    @生活習慣や生活環境が健康に及ぼす影響などの啓発活動に努める。
A健康ウオーキング等、各種健康づくり活動を後援する。

5.総合組合の運営育成
 総合組合の運営に資するため、次の調査・研究事業を実施する。
   

@総合組合の実態に関する調査資料を作成するとともに、財政状況を分析し検討する。
A特定健診・特定保健指導の実施上の課題を検討する。
BIT化による組合業務推進について検討する。
C協会けんぽと財政状況等について比較し検討する。


平成25年度 収入支出予算概要

(単位 千円)