広報誌「かけはし」
 
■2013年2月 No.497

 平成25年度(2013年度)の健康保険組合予算編成等事務説明会が1月22日、大阪市中央区の大阪商工会議所国際会議ホールで開かれた。説明会には、大阪、福井、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山の2府5県から287組合、679人の健保組合責任者、担当者が出席。午前・午後の2部制で行われたこの日の説明会では、近畿厚生局健康福祉部保険課の係官から、25年度予算編成に関する事務の留意事項等の説明を受けた。

 予算編成等事務説明会では、午前の部で健保連大阪連合会副会長のパナソニック健保組合・長井輝臣顧問があいさつ。続いて、近畿厚生局の中元京和保険課長があいさつを行った。午後の部では、健保連大阪連合会副会長の兼松連合健保組合・山本吉平常務理事と中元京和保険課長があいさつを行った。
 長井副会長、中元保険課長、山本副会長のあいさつ要旨は、大要次の通り。

◇     ◇

 長井副会長 健保組合財政は、深刻な状況にある。長びく景気の低迷、高齢化にともなう医療費の増大、高齢者医療制度への過度な負担などにより、かつてない危機的な状況に陥っている。
 平成25年度の予算編成にあたり、各健保組合では保険料率の改定、保健事業の見直し、業務の効率化等、危機を乗り越えるために真剣に取り組んでいることと考える。
 一方、政府は昨年8月に、社会保障・税一体改革関連8法案を成立させた。11月には社会保障制度改革国民会議を発足させ、その後、新政権下でも開催され今後、本格審議を迎える。それ以前の諸会議等では、成果の上がらない不毛の議論が続き不満が残った。
 健保組合にとって今年は、われわれの主張実現のための本番、まさに正念場の年である。ぜひ国民会議でしっかり議論をして、負担と給付の方向性を示していただきたい。保険者にとって実りのある議論を期待する。
 われわれ健保組合は一致して、また、各都道府県連合会間で協力して、われわれの意見を中央へ向けて具申していく。ぜひ健保組合の団結と連帯で厳しい1年を乗りきっていきたい。近畿地区各連合会の活動に理解とご支援をいただきたい。
 中元保険課長 例年であれば、来年度の健保組合の予算編成については、12月に政府予算原案が閣議決定された後、予算編成にかかる厚労省保険局通知、同保険課長通知、拠出金等算定の事務連絡の3文書が年末に示されるところである。
 しかし、本年は、政府予算案が決定されない状況から、厚労省保険課長通知(内かん)の内容にもとづく説明になる。
 近年の急速な少子高齢化の進行をはじめ、社会経済状況が大きく変化している。国民生活の安心を確保するため、平成24年2月に社会保障・税一体改革大綱が閣議決定された。その状況下、社会保障制度改革推進法が成立し現在、高齢者医療制度を含めて社会保障制度改革国民会議で検討されている。その検討過程で、今後の医療保険制度の全体像がみえてくるのではないかと考えている。
 健保組合を取り巻く状況は、高齢者医療制度への納付金・支援金の負担の問題や長びく経済低迷があり、近畿厚生局管内の健保組合の24年度予算では、約9割が経常赤字となっているなど、厳しい状況である。このようななかで、25年度予算編成に苦慮されていることと思う。
 25年度においては、法定準備金保有規模の変更、第2期特定健診・特定保健指導の実施等を踏まえることとなる。準備金については、保有水準を縮減するよう健保連からの強い要望もあって、今般、保有月数を3カ月から2カ月相当に改正される予定になっている。具体的には政令公布後だが、内かんでは新保有基準で予算編成しても差し支えないこととされている。
 特定健診・特定保健指導については、疾病予防対策として極めて重要であることを認識し、第1期同様、積極的な取り組みを願いたい。医療費適正化事業の一環としてのジェネリック医薬品の使用促進については、希望カードの配付や、切り替えた場合の効果額通知といった方法がある。加入者への継続的な周知計画も盛り込んでいただきたい。
 このほか、個人情報の流出防止、経理事項の事故防止を心がけたい。厚労省通知の自己点検シートを活用するなど、十分事故防止に留意願いたい。
 今後、医療保険制度がどのように変わっていくのか予測が難しい。平成25年度だけでなく、数年先の法定準備金、積立金の状況等も念頭に、予算編成の検討にあたっていただきたい。
 国民皆保険制度を堅持していくには、わが国医療保険制度のなかで中核的役割を担っている健保組合の理解と協力が必要である。近畿厚生局としても、今後とも必要な情報提供に努めていきたい。
 山本副会長 昨年12月26日に自・公による新政権が誕生した。政治・経済など国の根幹をなす方針が、いままでとは大きく変わることになる。経済、財政、社会保障、教育、外交など多方面にわたり、新政権による力強い政治にかける期待は大きい。
 健保組合財政は、高齢者医療制度への納付金等の過度な負担により、かつてない厳しい状況にある。25年度の予算編成にあたっては、料率の見直し等、真剣に取り組み、苦労がたえないと思う。
 昨年11月、健保組合全国大会が開催され、「待ったなし!超高齢社会に持続可能な制度を今!」を合い言葉に、高齢者医療制度への公費投入拡充、医療費適正化の充実・推進、健保組合方式の維持など、4つのスローガンを全組合の総意で決議し、その実現を期したところである。まさにこの1年、実現に向けて積極的な活動を展開していかなければならない。
 社会保障・税一体改革は、昨年8月に関連法が成立し、社会保障制度改革国民会議の設置が決まった。しかし、たなざらし状態が続き、やっと年末に開催されたが成果は上がっておらず、1月21日に再開された。設置期限は8月21日までで、極めて短期間で医療、介護、年金、少子化対策の4分野の審議をする。ぜひ今後の制度の方向性を策定し、給付抑制、負担増など中味の議論をして、実りの秋にしていただきたい。
 健保連は、国民会議に対する主張を広く国民に周知するために、1月21日に日刊紙に意見広告を掲載した。
 健保組合は厳しい状況にあるが、団結と連帯でこの1年を乗り越えなければならない。

◇     ◇

 予算編成等事務説明会では、近畿厚生局保険課の吉森茂文社会保険監査指導官から予算編成について、加藤直樹組合調整係長から組合運営等における留意事項について、それぞれ具体的な説明を受けた。
 最後に、支払基金大阪支部の滝禎夫支部長から、レセプトの電子化に伴う審査の充実について説明があった。

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日  時 1月22日
会  場 大阪商工会議所 「国際会議ホール」
内  容 ●平成25年度健康保険組合予算編成事務
  ・あいさつ
  近畿厚生局保険課長  中元 京和 氏
・予算編成について
  近畿厚生局保険課 社会保険監査指導官  吉森 茂文 氏
・組合運営等における留意事項
  近畿厚生局保険課 組合調整係長  加藤 直樹 氏
  ●報告
  ・「レセプトの電子化に伴う審査の充実」
  社会保険診療報酬支払基金 大阪支部長  滝 禎夫 氏
出席者  287組合 679人
  (内訳)
大  阪 178組合 472人  
福  井 8組合 10人  
滋  賀 9組合 18人  
京  都 28組合 55人  
兵  庫 56組合 104人  
奈  良 3組合 7人  
和歌山 5組合 13人