母体企業から健保組合に移籍して1年。医療保険制度や医療保険行政に疑問と違和感の尽きない1年であった。
まず、健保組合の経理について。経理は予算中心主義としており、支出は原則、当初予算を超えることができないため、支出は多めに見積もっているのが実態のようだ。支出を切り詰めて予算を立てる企業との違和感を覚えた。
また、純資産に相当する準備金、積立金、繰越金のうち、準備金は解散リスク等への備えとはいえ、実態は未払いの医療費や納付金等に対応するものであり、未払金または引当金として負債確認しておくのが適切と考える。単式簿記の限界を感じた。
次に、医療保険制度。日本は国民皆保険制度で、国民のだれもがいずれかの医療保険に加入することになっており、法定給付を等しく受けることができる。
ところが、同じ標準報酬であっても加入する医療保険によって保険料率が違うことから、負担する保険料に格差が生じている。収入に応じた同じ保険料を負担し、同じ給付を受けてこそ公平な国民皆保険となるのでは。そうすれば、職域や地域、高齢者医療などで区分されている医療保険制度間の納付金や支援金、公費の投入など、調整のための複雑な資金の付け替えや制度間の利害対立もすっきり解消すると思うがどうだろう。
もう1つ、柔整問題。柔道整復師と施術所の数の伸びが著しく、これにともない、施術療養費も増加している。支給申請書の点検確認の負担が年々大きくなるなかで、不適切な請求と思われる事例も増えてきている。
保険医療の診療報酬請求が支払基金によって審査・支払いが行われている。柔整の一部も健康保険扱いとして認められているなら、柔整の支給申請についても統一的な審査・支払機関があってもよいと思うのだが。
疑問と違和感は尽きないが、社会保障制度改革国民会議は、なにを示してくれるのだろうか。
(第1地区 A・F)
*投稿ですので、いろいろな考えをもつ人がいます。 |