広報誌「かけはし」
 
■2013年1月 No.496
時評

セルフケア意識の向上を目指そう

− 健保組合における健康づくり −


 「自分の健康は、自分で守る」ということが健康管理の基本である。しかしながら、このことがすべての国民に理解されているとはいい難い。一人ひとりが自覚を持って正しい生活習慣を継続し、その成果として医療費が低減したという結果は出ていないのである。
 くしくも、平成25年度(2013年度)から、国民健康づくり運動「健康日本21」(第2次)と「特定健診・特定保健指導」(第2期)がスタートする。
 健康日本21(第1次)では、「栄養・食生活」「身体活動・運動」など9分野の具体的な目標が設定され、国・自治体・企業などでさまざまな健康づくり運動が推進されてきた。しかし、残念ながら、12年間の取り組みで十分に成果があがったとはいえず、多くの課題を残した。
 また、特定健診・特定保健指導(第1期)についても、内臓脂肪型肥満に着目し、生活習慣病を予防するという目標のもと、健保組合など各医療保険者に実施が義務付けられ、推進されてきた。しかし、その実施率は、全体としては目標から相当の開きがある結果となってしまっている。
 さて、次年度からの健康日本21(第2次)の大きな目標の1つに、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」が掲げられている。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことで、平成22年度は男性が70.42年、女性が73.62年となっている。一方、平均寿命は、男性79.55歳、女性86.30歳だった。
 その差は男性が9.13年、女性が12.68年ある。これを、平成34年度には平均寿命の伸びを上回るペースで健康寿命を延ばすことを目指す。
 健保組合における健康寿命の延伸対策は、現在高齢者世代を支えている現役世代の加入者、とくに中高年者の健康保持を支援していくことである。医療費適正化、そして高齢者医療制度への納付金等の負担軽減のためにも、しっかりと推進していかねばならない。
 ところで、健保組合では、いままでも母体企業と連携して健診の受診率向上に努めてきた。しかし、健診を受けても多くの人たちが自分の健診結果を覚えておらず、有所見者であっても再検査を受けない人や受診をしない人もいる。そして、この問題を抱えている健保組合が少なからずある。
 健保組合にとっては、健診結果に問題があるのに、放置してしまっている人たちにターゲットを絞り、重症化する前に手を打つことこそが重要なのである。
 健保組合は、現在厳しい事業運営を強いられている。しかし、だからこそ今後も、セルフケア意識を高め、心身ともに健康な人を増やすために、種々の施策を継続していかねばならないのである。
  (K・M)