広報誌「かけはし」
 
■2012年12月 No.495
健保問答 

第 386回

     
Q
 被保険者から、健康保険被保険者証(保険証)の表面に戸籍上の性別を載せてほしくないとの申し出がありました。性別などの情報は、被保険者の戸籍と一致させるものと理解しています。本人の希望通りに表記変更の申し出を受理し、性別欄に戸籍上とは異なる性別を記載してもいいのでしょうか。

A
 保険証の性別欄は、性別に由来する特有の疾患や診療行為があることから、出生証明書に基づく男女の区別(戸籍上の性別)を記載するよう設けられています。この原則に変わりはありません。
 しかし、やむを得ない理由があると保険者が判断した場合、表記方法を工夫しても差し支えないとされています。被保険者、またはその被扶養者が性同一性障害で、保険証の表面に戸籍上の性別が記載されることに嫌悪感を抱いている場合などが、これに該当します。
 ただ、表面の性別欄に戸籍上と異なる性別を記載すると、医療機関などが誤ってそのままレセプトやカルテに記載してしまう恐れがあります。性別欄には、「裏面参照」「備考欄参照」などと記載し、裏面の備考欄に戸籍上の性別を記載する工夫が望ましいでしょう。
 備考欄に記載した場合でも、性別欄を空白にすることは避けましょう。本人の外見で性別が判断される可能性が残るため、やはり「裏面参照」などと明記する必要があります。いずれにしても、医療機関が、戸籍上の性別を容易に確認できるよう工夫してください。
 このほか、高齢受給者証や限度額適用認定証も、本人から申し出があれば、保険証と同様に取り扱って差し支えありません。