■2012年9月 No.492
健康寿命延伸の秘策はあるか!?
− 健康日本21(第2次)の基本方針告示 −
8月12日、17日間にわたる第30回オリンピック競技大会(2012/ロンドン)が閉幕した。26競技それぞれに各国の威信と国民の期待をかけて、まさにトップクラスの力と技がぶつかり合い、熾烈な熱戦が繰り広げられた。日本からも多くの競技に出場し、見事金メダルに輝く者、メダルを期待されながらもあと一歩のところで涙をのむ者など、結果はさまざまであったが、「4年に一度」との熱い想いをヒシヒシと感じた。
また、今回は団体競技での活躍が強く印象に残った。サッカーでは男女ともに好成績で、とくに『なでしこジャパン』の快進撃には、サッカーファンならずとも昼夜の別なく手に汗握る想いで、熱い声援を送ったのではないか。初のメダル獲得と、日本国民に力と感動を与えた活躍に、心から拍手を贈りたい。
今回のもう一つの話題は、馬場馬術に挑んだ法華津 寛(ほけつ ひろし)氏が、日本選手団のなかでは史上最高齢の71歳、オリンピック史上においても過去92年間で最高齢の出場だったことである。"奇跡の人""出場しただけで金メダルに値する"と、英国をはじめ海外メディアでも称賛を浴びた。ちなみに15歳の愛馬「ウィスパー」も人間でいえば50〜60歳にあたる。
氏は「物忘れもするし、新聞が読みづらくなってきた」そうであるが、東京オリンピックに初出場して以来の驚くばかりに長い選手生命であり、「健康日本21(第2次)」が目指す、"健康寿命"を延ばすことは可能なのではないかとの希望を抱かせる。
先ごろ発表された厚生労働省の「健康日本21(第2次)」では、新たな方向性として"健康寿命"の延伸を目指す考え方が示されている。"健康寿命"とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である。平成22年では、男性70.42歳、女性73.62歳で、それぞれ平均寿命と9.13歳、12.68歳の差があり、この差異は寝たきりや要介護などの期間で不健康な状態といえる。この期間が短ければ短いほど、生活の質も高く保たれ、医療費や介護費用を抑えられるとの考え方である。
"病を経ずして寿命を全うする"ことを目指すといえば極論で、いったいそのようなことが可能であるのか、となるが、スポーツ選手の現役寿命をいかに延ばすかに通じると考えればヒントはある。
一般的に過度の運動は寿命を縮めるといわれるが、オリンピック選手の過酷なまでの運動量からすればなおさらである。そうしたなかで最年長メダル記録の更新や、6大会連続出場選手の活躍など、選手寿命が延びてきているのはなぜか?
背景には強化施設や環境面での改善に加え、医学的・科学的に自己の体を管理する、並はずれた「自己管理能力」があげられる。「健康日本21」でも第1次で達成率が低かった、身体活動・運動分野の習慣を各人が「自己管理」することに気づけば、"病を経ずして寿命を全うする"に一歩近づくことができるのではないか。
(Y・T)