新年あけましておめでとうございます。皆様には健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
さて、昨年を顧みますと、日本国内のみならず世界的に未曾有の激しい変動に見舞われた年でした。国内では、東日本大震災と、引き続く福島原発の事故、さらには紀伊半島の大水害等々たいへんな災害に見舞われ、亡くなられた方、被災された方、心ならずも故郷を離れて、かつ家族が離ればなれの生活を余儀なくされている方に、あらためて心からおくやみとお見舞いを申し上げます。また、経済面でも、日本国債の格下げがあり、それにもかかわらず超円高の進行が続いています。海外に目を転じれば、欧州の通貨不安・危機、中東での政治の激変、さらにはタイの大洪水などの諸問題等々、なにか地球規模で人類と、あるいは日本が試されているのではないかとさえ思う一年でした。
そのようななかでの新年の門出ですが、残念ながら率直にいって明るい話題がなかなかみあたりません。あえていうならば、政治が若干の動きをみせ、昨年末ギリギリに野田首相が最後の意地を発揮し、消費増税の方向を明確に打ち出しました。しかしその成り行きは与党内の反発や、野党がそっぽを向いている姿勢もあって予断を許しません。一方で、同じく年末に民主党が「社会保障改革素案」をまとめましたが、その内容たるや、愕然としか表現のしようがありません。
「改革素案」に対する世論の評価としては、日経新聞によれば、「改革の痛みは、大企業と現役世代に集中し、世代間の格差など少子高齢化に伴う負担と給付のゆがみは改革によって拡大する」、「本物の一体改革とは高齢者にも応分の痛みを求めつつ、それでも足りない社会保障財源を消費税と、社会保険料の引き上げで賄う改革だ。痛み隠しに走る与党議員の前に立ちはだかる政治家が政府側に現われないのはどうしたことか」、また「与野党を問わず、政治の意志の弱さが見える」という評価です。健保ニュース昨年11月下旬号の巻頭には、約1世紀前の米国の政治家の言葉として、「政治屋は次の選挙を考え、政治家は次の時代のことを考える」とありました。
昨年11月、健保組合全国大会で、健保連の平井会長が国民皆保険制度維持のために次のように心から訴えられました。「真摯に国のために、そして国の将来、国民の将来のためには、痛みを伴う施策・方針をしっかりとつくり、国民に示すことが、いま国に求められていることではないかと思う。これはまさしく政治の責任である」。また、われわれの「皆保険維持に向け、納得できる公平な負担を!」との切実な訴えを、残念ながら「政治屋」は理解できないのか、あるいは耳に届かぬふりをしているのではないかと思われます。私事ですが、今年の賀状で、私は親しい友人、知人にこう書きました。「政治の貧困、無責任に歯ぎしりしています」。
以上、いろいろ腹立たしい話ばかりですが、だからといって私たちは歯ぎしりだけしていても、組合員、会社に対して責任を果たせません。50年を超えた国民皆保険制度が危機的状況に立ち至っているいまこそ、私たちは改めて勇気とやる気を奮い起こす必要があります。
今後、「改革素案」の具体的な法案の内容を精査しつつ、われわれの主張をことあるごとに、討論会、審議会、また政治家への説明・説得などに、全力をあげて展開していく必要があります。このため、大阪連合会のそれぞれの組合幹部の皆様には普段から、関係者に対する意見聴取・集約と、その総力としての連合会意見の表明に心を一つにして頑張ってまいりたいと思います。
本年も健保連本部をはじめ、各都道府県連合会、各関係団体とも十分連絡をとりながら努力していきたいと思います。引き続き皆様のご支援、ご協力のほどを、よろしくお願い申し上げます。
最後に、本年も皆様とご家族様のご健勝と、ご多幸を祈念し新年のごあいさつといたします。 |