広報誌「かけはし」

■2011年8月 No.479
安藤会長あいさつ(要旨)

 
安藤会長
 
 未曽有の災害をもたらした東日本大震災から早や4カ月半が経過しました。被災された皆さまには、暑い夏を迎え、ご心労も多くたいへんなことと存じますが、心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興を願っております。また、全国の健保組合の皆さまからいただいた貴い義援金は総額で1317万円余と、非常に多くご協力いただき、厚くお礼申し上げます。
 ところで、政治は本来、このようなときは素早く的確な対応を行わなければならないところ右往左往と混乱し、国会の会期は延長したものの、不穏当な発言や大臣の交替などで2週間も空転したのち、ようやく再開されました。われわれの最大の関心事である「社会保障と税の一体改革」についても大きな影響がありましたが、6月30日に成案がまとめられ、閣議報告されました。ようやく半歩踏みだした感じです。
 健保連では、去る3月30日に細川厚労相あてに要望書を提出して、前期高齢者も含めた公費の拡充、消費税を引き上げて安定財源を確保すること、医療費の適正化対策などを要望するなど活動をしてきました。
 そしてこのたびの「社会保障と税の一体改革」の成案については、平井会長談話として7月7日に発表しました。論点は四つあり、まず、国民皆保険制度の持続性を担保する仕組みについて、二つ目は、高齢者医療制度・介護保険制度について、三つ目は、医療費等の重点化・効率化について、四つ目は、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大についてであり、健保連の考え方、成案に対する評価、今後の対応などを表明しました。
 平井会長も危惧されているように、今回の成案では、将来にわたって持続可能な制度のための負担と給付の関係が示されていません。財源としての消費税の10%への引き上げは明記されているものの、その時期が明確でなく、また財源不足が確実ななかで将来にわたって誰が負担するのか、どこに求めるのかもよくわかりません。少子高齢化のなかでの社会保障は、痛みを分かち合うことが大切です。なによりも日本全体が元気になって、日本経済の成長にもっと明るさがみえてこないと前途はますます厳しいものになると思っています。政治の混乱が日本全体に大きな影を落としていることを考えると、政治家の責任は極めて大きいものがあり、一刻も早い政治の信頼の回復を願っています。政治の信頼が高い国ほど、高い税負担でも国民に納得が得られているという指摘もあります。
 これからそれぞれの制度について、本格的な論議が始まります。健保組合が一致団結し声を大きくして、われわれの正しい主張を堂々と訴えていきたいと思いますので、皆さまのなおいっそうのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。このような状況のなかで、われわれ健保組合は一段と深刻な財政状態に追い込まれています。高齢者医療制度への支援金・納付金等の負担や、景気は依然として低迷しており、その影響で保険料収入が大幅な減少となっていることが大きな要因であり、年々1兆円も増加している医療費の高騰に対応しきれなくなっています。
 平成23年度予算でみると、全体で6089億円という赤字額で、91%の健保組合が赤字となっています。また、大阪では93%、166の健保組合が赤字であり、1073億円の赤字となっています。こうした状況を打開するため、公費負担の拡充は待ったなしの状況にあり、国に対して強く要望していくことが必要であると考えます。


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