昨年夏の参院選での結果により、衆参のねじれ国会となり、今日の政治は混迷している。一方で経済・雇用状況の不透明さに加えて少子高齢社会の進行などがあり、社会保障政策に対する国の大きな舵取りが求められている。
さて、健保組合の財政は、極めて深刻な状態に陥っている。21年度の決算見込みによると、健保組合全体の経常収支は過去最大の5235億円の赤字を計上し、赤字組合は8割に達した。また、22年度予算では赤字額は6621億円とさらに増え、赤字組合は9割に及んでおり、大阪の健保組合も同じ傾向にある。赤字の要因としては、収入面での標準報酬月額等の低下による保険料収入の減少と、支出面での保険料収入の5割近くを占める高齢者医療制度に関わる納付金、支援金の過重な負担の影響が大きく、多くの健保組合で法定給付費と拠出金の義務的経費だけで保険料収入を上回る事態が生じている。さらに、昨年7月から後期高齢者支援金の負担方法に3分の1総報酬割が導入されたことで負担増が上積みされた。
一方、昨年12月に発表された高齢者医療制度改革会議の最終とりまとめでは、財源問題に触れず、公費の拡充がほとんどないなかで負担構造だけを変えようとしている点や、現役世代の支援が限界に達している現状を認識することなく、さらなる負担増を求める内容となっていることから、健保組合・健保連としてはこのままでの法案化には反対である。
このような状況のなか、政府は「社会保障改革の推進について」の基本方針を閣議決定、社会保障と税制一体改革に関して6月に方向性を示すということを明確にした。ここには社会保障・税に関わる番号制度の検討も含まれることから、改革に対する審議を十分に注視していくことが必要である。
国として、いま急務なのは社会保障全体にわたるグランドデザインの構築であり、それを裏付ける安定財源の確保である。医療保険の分野においても、重要課題は山積しており、良質で効率的な医療提供体制の確立、増嵩する医療費の適正化、来年4月に予定される診療報酬・介護報酬同時改定への対応、遅延している医療保険分野のIT化、保健事業の効率的・効果的な推進など、これらの課題についても適時的確な対応が必要である。
大阪連合会では、各健保組合、各地区会をはじめ理事会、各委員会等において、常に問題点を共有しながら、真摯な議論を重ね、自主・自立の運営が図れる組合方式のもと、保険者機能を効果的に発揮していくことができ、将来とも安定した事業運営ができる医療保険制度の実現に向け、さらなる努力を続けていくこととしたい。
以上の趣旨を踏まえて、本年度は次の事業計画に基づき、事業活動を実施していくこととする。
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