広報誌「かけはし」

■2011年3月 No.474
 厚生労働省保険局医療課は3月3日、柔道整復施術療養費に係る疑義解釈資料をQ&Aにまとめ、地方厚生局ならびに都道府県あてに送付されました。柔道整復師の施術に係る療養費については取り扱いの改正が行われ、昨年9月から受療者の一部負担金に関する領収証の無償発行の義務化、希望者への明細書の発行(有償も可)などが図られました。また、今年1月からは、施術管理者が健保組合等の医療保険者に提出する柔道整復施術療養費支給申請書の様式が統一され、施術日がわかるように記載されることとなりました。なお、同療養費支給申請書の様式は6月30日まで従来の様式を繕って使用できますが、行政当局はこのほど、様式変更にともなう疑義についての解釈をQ&A形式で示しました。厚生労働省保険局医療課のQ&Aは次のとおりです。

柔道整復施術療養費に係る疑義解釈資料の送付について(その2)

 柔道整復師の施術に係る療養費については、「柔道整復師の施術に係る療養費について」(平成22年5月24日保発0524第2号)等により実施しているところであるが、今般、その取扱い等に係る疑義解釈資料を別添のとおり取りまとめたので、参考までに送付いたします。

〈別 添〉

申請書様式の変更関係
【一般的事項】
(問1)
 新様式については、これを統一様式とするとのことだが、どの程度の変更ができるのか。
(答)
 今回の新様式の統一化は、柔道整復施術療養費の審査の効率化及び適正支給の迅速化等を目的としたものであり、氏名、生年月日、住所等それぞれ記入欄の位置関係の固定を基本としたところ。なお、枠外の余白の範囲内で記入欄の幅を調整するなど、適宜微調整は差し支えない。
(問2)
 施術日記載欄については、カレンダーの数字に○を印字する場合、ズレが生じることがあるので、プレ印刷ではなくカレンダーと○を同時に印刷することとしても良いか。
(答)
 施術日が下記例示のように印字されていれば差し支えない。
  (例)
(問3)
 受取代理人欄の年月日は、印字で良いか。また、当該委任欄の住所についても印字で良いか。
(答)
 これまでどおり、印字でも差し支えない。
(問4)
 新様式に使用する紙及び枠線等の色の指定はあるのか。
(答)
 特に指定はしていない。
(問5)
 保険種別欄の空白部分は何かに使用するのか。
(答)
 1〜6以外の制度で、今回の新様式を使用する場合、例えば自衛官等の給付などの場合は、空欄に「自」と記載するなどしてご活用いただきたい。
(問6)
 保険種別欄等○を付けるものは、直接印字してもよいか。
(答)
 保険者等への申請の段階で、下記例示のように、今回の新様式の形式になっていれば、直接印字する方法でも差し支えない。
  (例)
(問7)
 支払機関欄は、前もって特定の金融機関名等を申請書に直接印刷してあってもよいか。
(答)
 印刷でも差し支えないが、下記例示のように、記載欄に沿って記載されたい。
  (例)
(問8)
 新様式の欄外は自由に使用してよいか。
(答)
 施術者団体名、保険者名及び整理番号等の記載など軽微な活用は差し支えないが、できる限り控えていただきたい。
(問9)
 従来の様式を取り繕って使用できる期間は、平成23年6月の施術分までと考えてよいか。
(答)
 そのとおり。
(問10)
 平成23年7月の施術分からは、今回の新様式のみ使用し、従来の様式は使用できないと考えてよいか。
(答)
 そのとおり。
(問11)
 施術管理者が施術団体の長等に療養費の受領を委任する際の委任の記載例が示されているが、委任する場合と委任しない場合があり、2種類の様式でなく、今回の新様式1種類のみで対応できる方法はないか。
(答)
 下記記載例のように記載されたい。
  (記載例)
(問12)
 施術管理者が施術団体の長等に療養費の受領を委任する際の委任の記載例が示されているが、団体の長の氏名や住所は省略してもよいか。
(答)
 任意団体である場合は、患者及び保険者等が療養費の受領を委任した相手方である団体の所在を明らかにする必要があるため、省略はできない。
(問13)
 施術部位数が3部位以上の場合等で、一部の部位に係る負傷が先に治癒したことにより逓減率が変更になった場合、変更後の逓減率に応じた所定の記載欄が不足する場合があるが、どのように記載したらよいか。
(答)
 摘要欄に下記記載例のように記載されたい。また、合計欄には当該金額を合計した金額を記載されたい。
  (記載例)
【公費負担医療分等の申請関係】
(問14)
 公費負担医療分等(地方単独事業等を含む。以下同じ。)の申請についても、今回の新様式を使用しなければならないのか。
(答)
 今回の新様式については、柔道整復施術療養費の審査の効率化及び適正支給の迅速化等に資するため、健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度に係る申請の際に使用する様式を統一的にしたものであって、公費負担医療分等の申請については、地域によりその取扱いが異なるため、今回の新様式の使用を限定していない。公費負担医療分等の申請については、当該申請窓口に使用の適否を確認するなど対応願いたい。
 なお、公費負担医療分等の申請も併せて国民健康保険団体連合会(以下、「国保連合会」という。)に申請(送付)する場合などで、請求金額等の記載欄等が不足する場合には、その対応等について国保連合会に確認いただきたい。
(問15)
 これまで、公費負担医療分等の申請書と国民健康保険分の申請書をそれぞれの申請窓口に分けて申請していたが、今回の新様式1枚で申請ができるのか。
(答)
 分けて申請していた場合は、これまでどおり分けて申請していただくことになる。
(問16)
 これまで、公費負担医療分等も併せて申請書1枚で国保連合会に申請(送付)していたが、今回の新様式も1枚で申請することができるのか。
(答)
 今回の新様式を使用して、これまでどおり1枚で申請可能であるか国保連合会に確認されたい。なお、申請の際、請求金額等の記載欄等が不足する場合の対応等についても国保連合会に確認いただきたい。
【複数月の申請関係】
(問17)
 受領委任の取扱規程第4章23(2)より、「〜ただし、月単位で作成することが困難な場合には、一の申請書において各月の施術内容が分かるように作成すること。」とあるが、これに該当する場合、今回の新様式により申請は可能か。
(答)
 これまでどおり申請可能である。この場合の申請書への記載方法については、下記記載例を参照願いたい。
  (記載例)
(問18)
 1申請書で複数月の申請がある場合で、平成23年7月以降も引き続き施術を行う場合、今回の新様式はどのように取り扱ったらよいか。
(答)
 例えば平成23年5月以降引き続き6、7月の施術分がある場合など、7月の施術分が含まれる場合は、今回の新様式を使用されたい。
(問19)
 1申請書で複数月の申請がある場合、施術日欄はどのように記載するのか。
(答)
 施術日の記載方法については、最後の施術月分について今回の新様式の所定の欄に記載することとし、その他の施術月の施術日については、欄外の下方に下記例示のように同様の記載欄を設け記載されたい。
 なお、さらに書ききれない場合は、別紙に同様の記載をして申請書に添付されたい。
  (記載例)
その他
【療養費支給申請書等の記載関係】
(問20)
 3部位目を所定料金の100分の70に相当する金額により算定することとなる場合は、すべての負傷名にかかる具体的な負傷の原因を申請書の「負傷の原因」欄に記載することになったが、施術が継続する場合、毎月同様に記載しなければならないか。
 また、具体的な負傷の原因はどの程度まで記載が必要か。
(答)
 「負傷の原因」は、保険者等での確認が容易になるよう、申請書ごとに記載をされたい。
 また、具体的な負傷の原因は、どこで、どうして、どうなったか等負傷等に至った状況がわかるよう次の記載例を参考にされたい。
(負傷の原因の記載例)
1.
私用で自転車に乗って買い物に行く途中、縁石に乗り上げ転倒して負傷
2.
自宅で階段を踏み外し転落して負傷
3.
学校でサッカーの部活中、ボールを強くキックしたときに捻り負傷
 
など
(問21)
 施術録は誰が記載するのか。施術管理者や勤務する柔道整復師が記載することでよいか。
(答)
 そのとおり。所見や施術経過等、施術に係るものは実際に施術を行った柔道整復師が記載するものであり、例えば複数の柔道整復師が施術にあたる場合は、署名等を行って、施術をした柔道整復師がわかるようにしておく必要がある。
【施術所の廃止・開設関係】
(問22)
 移転は伴わないが、施術管理者が交代したため、交代後、2、3日経過してから届出をしたが、実際に交代した日に遡って受領委任の取扱いはできないか。
(答)
 施術管理者が交代する場合は、受領委任の取扱いを新たに開始する新設の扱いと同様に、地方厚生(支)局又は都府県事務所の受理した日が受領委任の取扱いの開始日となるので、すみやかに提出するよう努められたい。
(問23)
 施術管理者でない施術所の開設者が交代する場合、受領委任の取扱いに係る手続きは様式第4号での変更手続きのみでよいか。
(答)
 様式第4号での変更手続きのみで差し支えない。なお、様式第4号には、開設者が選任したことを証する書類(「柔道整復師の施術に係る療養費について」(平成22年5月24日保発0524第2号厚生労働省保険局長通知)の別添1別紙第1章5及び別添2第1章5参照)及び開設者の変更等が確認できる書類を添付されたい。
(問24)
 日曜日や休日から受領委任の取扱いを開始できないか。
(答)
 受領委任の取扱いの開始日は、地方厚生(支)局又は都府県事務所が受理した日を原則としているが、土・日曜日又は休日(以下「休日等」という。)に開始を希望する施術所もあることから、地方厚生(支)局又は都府県事務所に事前に休日等に開始したい旨の申し出(様式第1号、2号、2号の2及び選任届を提出。その際、様式第2号の備考欄に「○月○日開設希望」と希望日を付記することとする。)があり、当該休日等明けの翌開庁日に改めて手続きが行われた場合には、希望のあった当該休日等を受領委任の開始日として差し支えない。
(問25)
 保健所によっては、施術所の所在地変更(移転を伴わない場合を除く。)を変更届けで取り扱うところがあるが、その場合、受領委任の取扱いは様式第4号での変更手続きのみでよいか。
(答)
 所在地変更の場合は、廃止、新設の手続きが必要となる。
 なお、地番の変更等移転を伴わない場合は、様式第4号での変更手続きで差し支えない。
【領収証・明細書関係】
(問26)
 領収証及び明細書の様式は、厚生労働省保険局医療課長通知で示されたものと同じ様式でなければならないか。
(答)
 通知で示した様式は標準様式であり、同等の内容が示された様式であれば差し支えない。
(問27)
 領収証の押印は必要か。
(答)
 施術管理者又は開設者等の施術所の責任を負う者の記名、押印が必要である。
【算定基準関係】
(問28)
 両側の肩関節の捻挫と同時に生じた背部打撲に対する施術料はそれぞれ算定可能か。また、一側の肩関節の捻挫と同時に生じた背部打撲に対する施術料はそれぞれ算定可能か。
(答)
 「柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項」(平成9年4月17日保険発第57号医療課長通知)の第5の4(1)イでは、「左右の肩関節捻挫と同時に負傷した頸部捻挫又は背部打撲に対する施術料は、左右の肩関節捻挫に対する所定料金のみにより算定すること。」とされているが、両側の肩関節の捻挫と同時に生じた背部(下部に限る)の打撲については、第5の4(1)カC「算定可能な部位の負傷例(脱臼・打撲・捻挫・挫傷の場合)」の4によりそれぞれ算定可能である。また、一側の肩関節の捻挫と同時に生じた背部打撲については、第5の4(1)カC「算定可能な部位の負傷例(脱臼・打撲・捻挫・挫傷の場合)」の2によりそれぞれ算定可能としているが、同側の背部打撲(上部)については算定できない。
(問29)
 「柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項」(平成9年4月17日保険発第57号医療課長通知。以下「留意事項通知」という。)の第5の4(1)近接部位の算定方法ア〜オでは「同時に生じた負傷」についての算定方法が示されているが、同時ではなく、それぞれ別に負傷した場合には、同時に負傷した場合と区別してそれぞれ算定してもよいか。
(答)
 「留意事項通知」第5の4(1)オなお書に記載されているとおり、施術期間中に発生した同一部位又は近接部位の負傷に係る施術料は、それぞれ別に負傷した場合であっても同時に生じた負傷の場合と同様の取扱いとすることとされており、区別してそれぞれ算定することはできない。