広報誌「かけはし」
 
■2010年12月 No.471
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●料率改定!どうなる健保組合
 

 平成20年度以降、新たな高齢者医療制度の施行により、健保組合財政は軒並み悪化した。平成14年10月に老人保健法が改正され、老健拠出金は年々減少し、総報酬制の導入もあり当組合は、赤字から、黒字へ劇的に転換した。
 それ以前は、バブル崩壊後、母体企業の経営不振により、被保険者数の減少、標準報酬月額の減少に加えて、老健拠出金の激増により、組合財政は一気に悪化していた。当時は組合会議員から「政管健保の料率を超えたら即解散」と言われ続け、保険料率の引き上げをする前に、必要最低限以外の保健事業を全面廃止せよとの大号令もあった。平成9年よりの5年間で、直営・共同保養所の閉鎖・売却、健康管理室の廃止、最後は事務職員の解雇等々と、組合存続のため血の涙を流しながら、保養所売却益をすべて使い果たし、料率改定を行わず自助努力でしのいできた。
 それなのに、平成15年から平成19年の間で少し蓄えた積立金も本年度で底をつき、もうこれ以上削るものはなにもなく、最後の最後の手段として、来年度に向け大幅な料率改定に踏み切らざるを得ない状況になった。
 昨今、メンタル面の疾病が主因の傷病手当金が増えている。この秋から来年2月の組合会まで、筆者をはじめ健保組合関係者のメンタル対策が必要か?
 「持続可能な社会保障制度の構築には、安定した財源が必要」なわけで、政府は一刻も早く税制改革と一体で高齢者医療制度改革を実現すべきであると断言しておきたい。

(第1地区 M・U)

   
●メタボランキング 一念発起の契機に
 

 当健保の母体では、一昨年から被保険者の「メタボランキング」を作成、本人に通知することでメタボ撲滅作戦を展開している。これは母体、産業医、健保が協力し、メタボリック階層化の基準にLDLコレステロールと尿酸値を加え、さらに重症度を加味してポイントを付け、順位による相対効果を行うものだ。
 順位が低いほどメタボ度が高く、上がるほどにメタボから遠ざかる。つまり、母体企業における疾患の傾向も踏まえたわれわれ独自のものである。もちろん、一方で特定保健指導に力を入れていることは言うまでもない。
 今年の結果は集計中だが、昨年は参加事業所全体の約90%にあたる4800人(定期健診、人間ドック等の健診を受けた者)が母集団になっている。この「メタボランキング」を見ることにより、「ランクアップしなければ!」と一念発起し、自らメタボ解消に努力している人も多い。
 筆者は特定保健指導のお世話になっていないが、ランキングでは837位で、一昨年の1867位から1000人抜きで大幅に改善した。最近は学校の成績等に順位付けをしないこともあるらしいが、やはり、ランキングされるとランクアップしようと励むのが人間心理というもので、この「メタボランキング」はその良い面をついていると自負している。健保財政が苦しいなか、ランキングによって、特定保健指導の費用、ひいては医療費の削減につながればと思っている。

(第2地区 T・T)

 
●健保組合は、国民皆保険制度の根幹です
 

 やっとのことで新たな高齢者医療制度の改革案の「中間とりまとめ」が出てきました。年齢によって区分されない制度という大原則だけでの見直しの結果、従前の老人保健制度に近い制度に戻った感があります。
 現行の高齢者医療制度は10年かかってやっとのことでできましたが、問題も多く含まれています。とくに、拠出金については、負担の限界を超えており健保財政悪化の大きな要因です。納付金等の割合が保険料収入の半分に達する現況は、現役の若人が高齢者を支えるといった言葉で語ることのできないほどの異常事態です。
 また、現行の前期高齢者納付金の財政調整の方法についても、あまりにも乱暴すぎます。加入率の下限率の設定も老健制度のときと同じ方法で決めたかのように聞いていますが、前期高齢者の加入率は組合によって大きく偏っており、従来の老健制度での加入率は被扶養者の数でほぼ決まるので、組合間では前期高齢者ほどの偏在はなかったのではないかと思います。下限率の適用により減免された納付額は、また全組合に再按分される仕組みなので、ほかの組合の負担が増えることにほかなりません。
 下限率の適用にあたっては、納付金の財源率、被保険者数等を考慮し、もっときめ細やかな対応が必要と思われます。これ以上納付金の負担が増えては組合が存続できない状況は待ったなしです。それを防ぐためにも65歳以上の医療費の公費負担はなにがあっても勝ち取らねばなりません。日本の国民皆保険制度の維持継続には、健保組合の存続発展が不可欠です。

(第3地区 K・T)
 

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へ送ってください。
問い合わせは、健保連事務局・宗像(06-4795-5522)へ。