 |
笑って!うつ予防
〜笑いと身体・心理的健康との関連〜 |
9月29日、薬業年金会館で心の健康講座を開催。大阪大学大学院医学系研究科 社会環境医学講座 准教授大平哲也氏が「笑って!うつ予防〜笑いと身体・心理的健康との関連〜」をテーマに講演されました。(以下に講演要旨) |
|
 |
|
大平 哲也氏 |
もともと「ストレス」ということばは物理学的に「外からかかる力による物質の歪(ひず)み」のことを意味していました。医学的には、外からの刺激に対するからだやこころの反応のことを「ストレス反応」と呼び、その反応を生じさせる刺激(ストレスの原因)のことを「ストレッサー」と呼んでいます。
ストレスをコントロールし、自分らしい生活を送ることが理想ですが、人によってはストレスに対する感受性が強かったり、マイナス思考、周囲からの適切なサポートがないなどの理由で、怒りや不安、緊張などの心理的反応から、過食や多量飲酒など行動の変化を起こし、ストレス関連疾患である肥満や糖尿病から脳梗塞や心臓病の発症へつなげる危険性があります。 |
旧約聖書の一説に「喜びのある心は病を癒すが、気分が沈むと骨まで枯れる」とあるように、すでにその時代から、笑いと健康には大きな関係があるといわれていました。
現在でもさまざまな研究が行われており、例えば「1時間の落語の後で関節リウマチの自覚的な痛みの程度・炎症の客観的指標が有意に軽快していた」、「喜劇映画を見た後、アレルギー反応が低下していた」、「糖尿病患者さんに漫才を見てもらったところ、血糖値の上昇が抑えられた」などがあります。
また、普段から笑う頻度が多い人ほど、落語や漫才などによるストレス解消効果が強くみられました。ただし、人によって笑いの範囲が違っているので、その人にあった笑いを探すことが大切です。 |
笑っている間の消費カロリーは、安静時と比較して10〜 20%増加し、1日10〜15分間の笑いは、1日のエネルギー消費を10〜40キロカロリー増加させます。「腹がよじれる」というように、無意識に腹式呼吸をすることで、リラクゼーションを導く効果もあります。
このように、生活のなかに笑いを取り込むことが重要です。自分にとって笑いのもとはなにかを考えて実践することや、一緒にいて心地よい人との付き合いを増やすなど、笑いを増やすことでよい人間関係が構築されるのではないでしょうか。 |
うつの人は笑うことが非常に困難です。しかし、作り笑いでもからだへの効果はほぼ同じであることがわかっています。面白くない場合、笑うことができなくても、体を動かすことはできます。そこで、最近では、運動としての笑いとヨガの呼吸法を組み合わせた新しいストレスアプローチ「笑いヨガ」に注目が集まっています。 |
「薬」は自分にしか効果はなく、副作用も存在します。しかし、「笑い」は自分だけではなく、相手も癒すことができるのです。「笑い」を意識した日常生活を送ることをお勧めします。 |
[講演の合間には、大平先生による『笑いヨガ』の実践が行われました。] |
|
 |