広報誌「かけはし」
 
■2010年9月 No.468
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●釈然としない思い
 

 菅首相は、「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体で実現する」と所信表明した。
 強い社会保障を実現するには、強い財政が必要であり、強い財政は、強い経済が前提条件になる。消費税を福祉目的税として財源を確保することは、喫緊の課題であるが、景気が失速しては、元も子もない。
 いま、世界中で家計や法人など民間部門は、資産の健全化と先行きの不安から債務の最小化を急ぎ貯蓄を増やしている。このようなときに国までもが、世界中で財政再建に走ったら、世界景気は失速してしまう。各国が正しいと思ってとった行動が、多くの国が同じ行動をとると全体として良い結果にはならないという「合成の誤謬(ごびゅう)」が発生する危険性をはらんでいる。わが国が優先すべきは、無駄をもっと省いて、単なるバラマキ政策ではなく、大胆かつ有効な政策で、失われた20年から脱却する経済成長を成し遂げることだ。
 しかるに国は、身近に健保に関わることだけでも、入院医療費が無料、自己負担上限が月1万円など手厚い給付をする国保組合への多額の補助金の支給を続ける一方で、組合健保などへは「協会けんぽ」への肩代わりを強いるような対症療法をしている。「協会けんぽ」の2009年度収支は約6000億円の赤字見込みだったのに、最終的には4600億円に減少した。その差1400億円は、奇しくも健保組合の国庫負担肩代わりによる追加負担分とほぼ同額である。
 釈然としない思いでいっぱいである。党利党略、私利私欲を捨てなければ、この国は破滅する。

(第4地区 S・N)

   
●‥‥は、すぐに言う
 

 マスコミは、「大手企業の財政が裕福な健康保険組合」とか、すぐに言う。
 進歩的文化人と称する人は、「医療制度崩壊だ。北欧では」とか、すぐに言う。
 市民団体は、「貧困の格差が進んでおり医療も受けられない人をなんとかしろ」とか、すぐに言う。
 政治家は、「医療は国民すべて平等でなければならない」と言い、そのくせ「消費税は上げない」とか、選挙前にはすぐに言う。
 しかし、本当にそうだろうか。
 大阪市は、20人に1人が生活保護を受けている。これらの人は健康保険料も払わず医療費の本人負担も免除である。一生懸命働いてやっと暮らしていける人と生活保護を受けている人の差は、なんだろうか。
 また、全部とはいわないが、実際の収入に見合った国民健康保険料や税金を納めていない人も多くいると聞く。
 その一方で、日本は世界一の長寿国である(老人の神隠しが話題になっているが、ひょっとしたら世界一ではないかも。年金目当てとしたら日本人はいつからこんなに卑しくなったのだろうか)。これらの実態はどう説明したらいいのか。事業仕分けではないが、長寿は2番ではダメなんですか。2番と1番の差は、なんなのですか。そのために膨大な費用が掛かっているのではないのですか。
 国民皆保険の権利を行使するならば、義務も果たさなければならない。われわれ、健康保険組合はコツコツと真面目にやってきた。正直者がバカをみるようなことだけはやめて貰いたい。

(第5地区 K・N)

 
●1年経過
 

 健保組合にきて1年余りが過ぎた。それまでの30年間は生産畑だったので、業務の違いや初めて聞く専門用語に戸惑った(ている)。
 まず当健保の実態はというと、財政面では大赤字の連続。仕方なく今年から保険料率を千分の25引き上げさせていただいたが、それでも赤字体質から抜け出せない。
 収入を増やす道はいまのところ皆無。それならコストダウンするしかない。生産でさんざんやってきた手法とは違うかもしれないが…。医療給付費のなかでも金額の大きいものが薬剤。もっとジェネリック医薬品の使用推進に取り組むか。いや歯科も結構多いな。柔整などの不当な請求にも目を向けないと。保健事業も過剰サービスがないかどうか見直さないと…等と考えていた。
 それぞれ大切な課題だと思う。でももっと先に打つ手があるかもしれない。レセプトの疾病分析以前に、健診・人間ドックのデータは有効活用できていたか?と振り返ると、これまでは対症療法的で、十分なデータの蓄積もない。社員のライフスタイルの把握もできていない。このあたりを充実させて、予防に重点をおいていくことが疾病予防、ひいてはコストダウンの第一歩かもしれないと考えている今日この頃である。

(第6地区 Y・T)
 

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へ送ってください。
問い合わせは、健保連事務局・宗像(06-4795-5522)へ。