安藤会長あいさつ(要旨)
私が4月に健保連大阪連合会会長に就任しまして、早や4カ月ほ
どが経過しました。この間、政治・経済をはじめ、健保組合を取りまく四囲の情勢はめまぐるしく変化しております。本日は、これらの状況も踏まえながらお話を申しあげたいと思います。
まず、「協会けんぽ」の国庫負担肩代わりを含む改正国民健康保険法等について、健保連としては昨年来、この「肩代わり」に対して組織を挙げて一体となって反対活動を展開しましたが、まことに残念ながら5月に法律が成立しました。
しかしながら、この反対活動での、健保連の主張は、国会審議のなかでみられたように、多くの国民や国会議員に理解を得ることができ、参議院では保険者への財政支援の継続充実や、高齢者医療制度への公費負担の充実等の附帯決議が採択され、一定の活動成果を得たものと考えています。
これは今後の健保連の活動のあり方についての貴重な財産の一つと思います。
次に、高齢者医療制度は、厚労大臣主宰の改革会議で昨年末以来、制度の基本的枠組み、運営主体、費用負担、保険料、給付、サービスなどの議論が続けられ、本日、改革会議が開かれ、中間まとめの検討が行われることになっています。
また、健保連としては、日本経団連、連合、協会けんぽの4団体共同で「要望書」を取りまとめ、この4月に厚労大臣に提出しました。
「要望書」では、高齢者医療制度に対する公費負担の拡充と安定財源の確保、被用者保険に対する財政支援の継続と拡大、地域保険と被用者保険からなる制度体系の維持、加入者特性に応じた保険者機能の発揮などが盛り込まれています。
さらに今後、ますます少子高齢化社会が進展し、現役世代への過重な負担が繰り返されるなかで、医療保険制度が安定的に持続されるよう4団体が連携して、国民の理解促進のための活動が必要であると思います。
改革会議は、本年中に最終まとめをする予定となっています。健保連の主張がキッチリと取り入れられ、長期的視点から持続可能で健全な高齢者医療制度の成立を是非ともめざす必要があります。
健保組合は一段と深刻な財政状態に追い込まれています。ご承知のように、高齢者医療制度への支援金・納付金等の負担や、景気は依然として悪い状態が続いており、その影響で保険料収入が大幅な減少となっていることが大きな要因であり、年々1兆円も増加している医療費に対応しきれなくなっています。
平成22年度予算早期集計でみると、全体で6605億円という過去最悪の赤字で、89%の健保組合が赤字に転落しています。また、大阪でも89%の健保組合が赤字であり、962億円の赤字となっています。
この状況は、今後さらに厳しくなると予想され、本日ご出席の皆様をはじめ関係の方々の大変なご苦労は続くと思われます。
この苦況を打開するため、また世界に冠たる国民皆保険制度を守り抜くために、健保連の平井会長は今後の医療保険制度について、適正な公費負担を前提として、国民の各方面、各階層が十分納得、理解できる中長期に持続可能なグランドデザインの構築が急務と強く主張されています。我が健保連の役割は大であります。
先に述べましたように「肩代わり」に対する健保連としての一致団結した精力的な主張、活動は最終的には「法案成立」という苦汁をなめることとなりましたが、一方でその負担の軽減、また参院における附帯決議の形で一定の成果を勝ち取ったとも総括できると思います。
この経験を踏まえ、私どもは目下の最大のテーマである高齢者医療制度の再構築、また今後いろいろと出てくるであろう医療制度の諸問題に対して、それぞれの健保組合としての自主・自立を堅持し、しっかりアピールしつつ、正々堂々と健保連としての主張をし続け、再度平井会長のご発言を拝借いたしますが、「取りやすい所から取る」といった政策手法には断固、反対、拒否する姿勢を貫いて行かなくてはなりません。
私も経験未熟ではございますが皆様とともにがんばっていく所存ですので、よろしくご指導ご協力を心からお願い申しあげます。 |