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呼吸を整え、身体を通してこころをほぐす
〜メンタルヘルスの体験セミナー〜 |
6月28日、薬業年金会館で心の健康講座を開催。帝恷R大学大学院 産業心理臨床領域 教授 森下高治氏が「呼吸を整え、身体を通してこころをほぐす〜メンタルヘルスの体験セミナー〜」をテーマに講演されました。(以下に講演要旨) |
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森下 高治氏 |
メンタルヘルスを語るうえで、避けられないのがストレス問題です。厚生労働省の調査によると、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスに関して、「ある」とする労働者の割合は、58%という高い結果になりました。その理由として、最も多いのは、「職場の人間関係の問題」、次いで「仕事の質の問題」「仕事の量の問題」と続きます。ここを解決できれば、ストレス問題の大部分をケアできるのではないかと考えます。
そこで、ソーシャルサポート(社会的援助)が重要になります。これは、相談やコミュニケーションにより実践するもので、物理的援助(手伝う、代わる、与える、貸す、教えるなど)と、心理的援助(慰める、労わる、理解する、信じる、認めるなど)があります。
上司や同僚、カウンセラーなど、援助を与えることができる人はたくさんいます。そのなかでも、上司による慰めや助言が、最も大きな援助になるということが、調査結果から明らかになりました。それは、同僚による慰めよりも、ストレス反応の数値が大きく減少することがわかっています。周囲から心理的援助を受けることができれば、職場ストレスの緩和が期待できるでしょう。 |
◆ ワーク・ライフ・バランス、ワークエンゲイジメント |
ワーク・ライフ・バランスとは、老若男女だれもが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、さまざまな活動について、自らが希望するバランスで展開できる状態をいいます。働く人が仕事上の責任を果たそうとすると、仕事以外の生活でやりたいことや、やらなければならないことに取り組めなくなるというのではなく、両者を実現できることが最もバランスがとれた状態だといえます。
そして、よいバランスを保つために、ワークエンゲイジメント(仕事活動の充実具合)に注目し、仕事に誇りや、やりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て、活き活きしている状態を維持することが重要になります。
ワークエンゲイジメントが大きければ、精神的な健康だけでなく、個人や組織のパフォーマンスを促進します。加えて、高ワークエンゲイジメントは、抑うつ感や疲労感、イライラ感、身体愁訴、不安感などのストレス反応が低いこともわかっています。
これからは、ライフスタイル(生き方)がメンタルヘルスにとって、重要なカギになると考えます。仕事に没頭するあまりにメンタルヘルス不調に陥ったりしても、リラックスや休息をとるなどして、ポジティブに活動していくよう心がければ、不調を訴える人が少なくなり、ワークエンゲイジメントをさらに発展させたライフエンゲイジメント(生活全般の充実具合、2010、森下)を考えることが、この先、非常に重要になってくると思います。 |
[講演の合間には、森下先生による自律訓練法、五感の体操、筋弛緩法の実践、サポート役の柳澤氏(帝恷R大学大学院)によるボディワーク『リラクセーションの実践(太極拳の型) 身体からこころへ―ふぁんそん(リラックスの意)』が行われました。] |
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