広報誌「かけはし」
 
■2010年4月 No.463
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●「もったいない」「みっともない」
 

 左官職人だった父が亡くなったのは、いまから20年以上前のことである。朝早くから夜遅くまで働き、休日は月に数日だった。職人としての評判がよかったことから仕事の依頼が途切れることはなかったが、家計と健康には無頓着でその日の食事に窮することが多々あった。
 晩年、腎臓を悪くして長らく医師のお世話になったとき、健康保険は本当にありがたいとしみじみ言っていた。そんな父が生前よく口にしていたのは、最近まで日本人には死語になっていた「もったいない」と「みっともない」という言葉だった。
 父が心から感謝していた日本が世界に誇れる制度が『国民皆保険』である。いざというときのために欠かせない医療保険制度として今後も維持していかなければならないが、そのためには政府は国民に明確な医療ビジョンを示し合意を得ておく必要がある。
 政権交代によりその機会が巡ってきたかに思えたが、政府・与党は目先の票に気をとられ本格論議を進めようとしない。せっかくのチャンスを逃しては「もったいない」話であり、予算のつじつまを合わせるために、本来、国が負担すべき財源を健保組合などに押し付けるのは恥知らずの「みっともない」ことである。
 日本のよき文化である「もったいない」は、外国の要人によって蘇ったが、「みっともない」は、政府・与党が率先してそうした行動をとらないことで復活させてほしい。

(第1地区 S・M)

   
●民主党が考える健保組合の存立意義は
 

 平成19年11月、大連立政権樹立をめぐり政治的混乱が生じたけじめとして、当時の民主党小沢代表はその職を辞する決意を表明し、その会見で「民主党はいまださまざまな面で力量が不足しており、国民の皆様からも、自民党はダメだが、民主党も本当に政権担当能力があるのかという疑問が提起され続け、次期総選挙での勝利は大変厳しい情勢にあると考えている」と明言した。記憶に新しく頭にこびりついています。
 昨年夏、民主党は圧倒的多数の議席を獲得して政権与党につき半年が経過した。この間、政権交代マニフェストの記載内容と実際の施策・構想・計画との齟齬や延期・先送り、現実的見直しなどを聞かされ、口に出る愚痴は毎日増殖し、押し潰されそうなほどです。
 こんななか、もうひとつ頭にこびりついている言葉がある。民主党幹部の発言だったと記憶するが「これが、政権交代ということなんです。いままでみんなが経験したことのない政権交代とはこういうことなんです・・・」(正確な言葉は記憶していないが)
 政権交代を果たした現政権は「地域保険としての一元的な運用」を掲げ、一方的に肩代わり案を閣議決定し、国会へ提出した。
 組合数が激減するなかでの健康保険組合の存立意義をどのように考えているのでしょう?

(第2地区 K・I)

 
●高齢者私怨を巡る哀れ孝行息子の一節
 

 昔々或るところに1人の孝行息子がおったそうじゃ。毎日々々朝早くから夜遅くまで一生懸命働いて、稼ぎの半分は年老いた両親に仕送りしていたそうじゃ、感心なことじゃ。嫁を貰い子供が出来ても仕送りは続けていたそうじゃ、感心なことじゃ。近頃ではお隣のお年寄りにも稼ぎを渡していたそうじゃ、感心なことじゃ。確かお隣には息子さんがおって元お役人でたっぷりお給金を貰っていたはずじゃが。無駄遣いでもしとったかのう。
 お蔭様でご近所さんはあまり苦労もなく、幸せに暮らしたそうじゃ。目出度し目出度し。 
 えっ!あの孝行息子はどうなったかって?そう言えば、息子はもっと稼ぐと言い残し家を出たまま帰らぬそうじゃ、この頃では嫁や子供の姿も見ないそうじゃが、どこへ行ってしもうたのやら。
 ご近所のみんなも心配しておるそうじゃ。早く帰って来ておくれと嘆いているそうじゃ。稼ぎ手がおらんようになって!

(第3地区 M・A)
 

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へ送ってください。
問い合わせは、健保連事務局・宗像(06-4795-5522)へ。