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後期高齢者医療制度への各医療保険者の支援金のうち、協会けんぽ分に導入されている国庫補助を削減して、健保組合や共済組合への負担増分で穴埋めする「肩代わり案」が、平成22年度の国の予算案に盛り込まれた。予算案に続き関連の改正法案が成立すれば、健保組合全体で年間500億円の負担増となるが、問題は金額の多寡にとどまらない。健保連は大阪など主要都市で、肩代わり案阻止のための街宣活動を行うなど、統一行動を強めている。 |
国庫補助の「肩代わり案」の骨子は、次のようなもの。@4年後に予定される高齢者医療制度の全面見直しまでの暫定措置である。A後期高齢者医療制度に対する各医療保険者の分担方法のうち、被用者保険の支援金の算定方法を、加入者数割3分の2、総報酬割3分の1に改める。B協会けんぽの支援金に導入されている国庫補助金をカットする。その結果、年間の増減額は健保組合が500億円、共済組合が350億円、協会けんぽが60億円それぞれ負担増、国が910億円の負担減と試算されている。
「肩代わり案」は昨年暮れに政府から突然提案された。その後、かたちのうえでは健保組合分の負担増額が当初案より減額されて政府予算案に盛り込まれたが、問題は単に金額の多寡にとどまらない。
まず指摘される点は、高齢者の医療費をどう負担するかについては、政府の高齢者医療制度改革会議などで議論すべき最重要課題のひとつ。議論が始まったばかりの段階で制度の基本を唐突に変更するのは、非常に短絡的である。高齢者医療の問題はじっくり議論して決めるべきである。
また、国庫補助を健保組合などに肩代わりさせるのは国の責任放棄であることも指摘される。政府は「国庫補助の削減分を協会けんぽの医療給付費のための国庫補助引き上げにあてる」としているが、この分に必要な財源は当然、国の責任で確保すべきである。
健保連は1月22日の本部理事会で、肩代わり案阻止へ向けて具体的な活動を強化することを決めた。その第一波として2月12日を街頭宣伝の統一行動日と設定。東京、横浜、名古屋、大阪、福岡、北九州の主要都市で健保組合関係者が街頭で「肩代わり法案に断固反対」のビラの配布を行った。
大阪では、同日朝に梅田、淀屋橋、本町、難波など中心街で、そろいのウインドブレーカーにタスキ姿の健保組合、健保連の役職員が、出勤途中のサラリーマンなどにビラを配布。理不尽な国庫負担肩代わり案の阻止を訴えた。 |
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