広報誌「かけはし」

■2009年11月 No.458

 健保連大阪連合会はこのほど、柔道整復師の施術にかかる指導・監査の強化等について、厚生労働省近畿厚生局へ要請した。要請書では、健保組合の保険者努力にもかかわらず、いぜんとして後を絶たない柔道整復療養費の不正・不当請求の実情を指摘し、行政当局に対して指導・監査のいっそうの強化と保険者への的確な情報提供を求めている。
 また、療養費の受領委任払いを廃止し償還払いに改めることや、施術内容がわかる領収書発行の義務付けなど、柔道整復療養費支給制度の改革の検討を要請した。

柔道整復師の施術にかかる指導・監査の強化等について(要請)

(平成21年10月14日 健康保険組合連合会大阪連合会 会長から厚生労働省近畿厚生局 局長あて)

 柔道整復師の施術に関して健保組合においては、療養費支給適正化の観点から、療養費支給申請書の点検を強化する一方、加入者に対する療養費支給の通知や、正しい受療方法についての啓発等に努めているところです。
 しかし、柔道整復師の不正・不当請求が社会問題化していることは、マスコミ等で報道されているとおりです。柔道整復師の施術療養は、保険医療の補完的な役割を果たしていますが、一部の柔道整復師に保険医療の一翼を担うという自覚の不足がみられ、不正・不当請求が後を絶ちません。
 行政当局におかれては、このような現状を勘案し、柔道整復師の施術にかかる不正・不当請求に対していっそうの指導・監査の強化、ならびに迅速な対応を図ること、合わせて、保険者に対して的確に情報を提供することを要請いたします。
 また、柔道整復師の施術に関する療養費支給制度については、別紙事項をご検討いただくよう特段のご配意をお願いいたします。


【別紙】
(1)

受領委任払いの廃止について

  ○受領委任払いを廃止し、償還払いに改める。
 

(理由)不正・不当請求が横行する根本原因は、柔道整復師の施術にかかる療養費の支払い方式について、受領委任払いを認めていることにある。受領委任払いを廃止し、健保法本則の療養費の支払い方式である償還払いを適用する。

(2) 領収書発行の義務付けについて
  ○患者からの一部負担金受領時に、施術内容がわかる領収書の発行を義務付けるよう協定に明記する。
  (理由)領収書の発行については、現行では「今後、柔道整復師が患者から一部負担金を徴収した際の領収書及び施術明細書の交付について、より一層指導すること」となっており、義務化されていない。すでに医療機関においては領収書の発行が義務化されていることも踏まえ、協定に「領収書を無償で交付しなければならない」ことを明記する。
(3) 療養費支給申請書の記載方法および様式等について
  @申請書への患者自身による署名、押印を徹底化する。
  (理由)申請書の受取代理人の欄については、「患者の自筆により被保険者の住所、氏名、委任年月日の記入を受けること。患者が記入することができない場合には、柔道整復師が自筆により代理記入し患者から押印を受けること」となっている。しかし現状では、月の初めに署名を受けるといった白紙委任の問題や、柔道整復師による不正な署名・押印などの問題が起きており、原則どおり運用されるよう指導願いたい。
  A申請書は月単位での作成に限定する。
  (理由)申請書の作成について、受領委任の取扱規程では「申請書を月単位で作成すること又は一の申請書において各月の施術内容が分かるように作成すること」とされているが、医療機関におけるレセプトと同様に月単位での作成に限定する。
  B申請書に施術実施日欄を設ける。
  (理由)現行の申請書の様式では、施術実日数の記載欄はあるものの、施術日の記載欄がなく、いつどんな施術を受けたのか把握できない。あんま・マッサージ、はり・きゅうの申請書の様式には施術日の記載欄が設けられており、同様に施術日数の内訳もしくは施術日の記載欄を設ける。
  C申請書の様式を統一する。
  (理由)申請書の様式については協定で「様式第5号又はそれに準ずる様式とすること」とされているが、健保組合における申請書のスムーズな点検促進を図るためにも様式を統一する。