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鳩山新内閣が誕生した。民主党のマニフェストには「後期高齢者医療制度・関連法は廃止する」、「被用者保険と国民健康保険を段階的に統合し、将来、地域保険として一元的運用を図る」とある。
まず、「後期高齢者医療制度の廃止」は健康保険組合にとってどうなのか。
高齢者医療制度による支援金、納付金等の負担は、全国の健康保険組合の平成20年度決算で明らかなように対前年比で4、200億円も増え、保険料収入に対する割合も44%を超えて過去最高となり、健保組合の財政は急激に悪化してしまった。収入の4割以上を有無をいわさず取りあげられてしまうということは「理不尽な制度」としかいえない。この高齢者医療制度を早急に改めて、医療保険制度全体の健全性を保てるような制度にすべきである。重い負担にあえぎ、解散の土俵際まで追い詰められている健保組合にとっては一日でも早い高齢者医療制度の見直しが望まれる。
もう一つの「被用者保険と国民健康保険を段階的に統合し、将来、地域保険として一元的運用を図る」という点についてはどうか。
一見すると、医療保険制度がいくつにも分かれているよりも一つの制度としてまとめた方がわかりやすく、公平であるようにみえる。
被用者保険間でも、協会けんぽとわれわれ健保組合には大きな「違い」がある。一つは財政面であり、協会けんぽは国の援助で成り立っている。一方、健保組合は自助努力で事業運営をしている。
協会けんぽの現行保険料率82‰を超えている健保組合にあっても、健保組合の存在意義と活動を示し、事業主サイドからも評価、理解を得て、充実した保健事業を展開しているし、医療費の適正化も進んでいる。
健保組合と加入者とが一体となって事業運営をしているという点で、協会けんぽとの「違い」があるといえる。
国民健康保険はどうなのか。
国民皆保険の最終的な受け皿として国民健康保険があるといっていいだろう。現状は保険というより、福祉事業的な面が大きいと思われる。
制度の成り立ちから考えても被用者保険と同様にすることに問題があると考える。
国保制度も国の大きな援助なしでは成り立たない。いろいろ問題点をみると、やはり国民皆保険の最終的な受け皿としての国民健康保険をどう助け、安定的に成り立たせるのかが重要と国は考えているのだろう。
そのための医療保険財政の一元的な運用なのだろう。
しかし、現在の国保制度ではいくら援助してもザルに水であり、国保制度のあり方を再考すべきである。
しかも現在の被用者保険の財政は、過重な負担と過激な経済悪化により危機的な状況に陥っている。このままではなんの解決策にもならない。
新政権に対し、健保連として健保組合の苦しい現状を訴え、高齢者医療制度の改革に向け、さらに具体的な提案をすることが大事ではないだろうか。みんなで考えようではないか。 |
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(M・K) |
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