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平成20年度の診療報酬改定で厚生労働省は、ジェネリック医薬品(後発医薬品)普及のため、処方せん様式の変更をおこない使用促進に努めてきた。
平成19年10月には「後発医薬品安心使用促進アクションプログラム」を策定し、安定供給や品質への不安に対応すべく取り組み、平成24年度には数量シェアを30%以上にする目標をあげている。
しかし、平成21年5月の中央社会保険医療協議会で「後発医薬品の使用状況調査結果」が報告され、使用促進が進んでいない実態が明らかになり、厚生労働省は指導、取り組みをさらに強化する方針を打ち出した。
今回の保険薬局への調査では@「後発医薬品への変更不可欄」に署名のない処方せんは65・6%あり、そのうち「1品目でも先発医薬品を後発医薬品に変更した」処方せんは6・1%、A「後発医薬品への変更可能」な処方せんを持参した患者のうち、後発医薬品の説明を薬局がおこなった割合が10%未満、と積極的な取り組みがされていない結果が明らかになっている。
後発医薬品の説明を行ったにもかかわらず、「患者が後発医薬品の使用を希望しなかった理由」として「薬剤料(患者自己負担額)の差額が小さい」(37・5%)、「後発医薬品に対する不安がある」(35・6%)などと回答している。
一方、診療所や病院の医師における調査結果では、「後発医薬品への変更不可欄」に署名した理由は、「品質が不安だから」(診療所49・0%、病院51・0%)がもっとも多い。
患者に対する調査結果では、後発医薬品の窓口での薬代の負担感は「安くなった」(50・2%)と回答した。そのなかで「できれば後発医薬品を使いたい」(46・7%)との希望はあるが、品質については、「効果があること」(73・5%)、「副作用の不安が少ないこと」(58・0%)があげられている。
このように後発医薬品の使用促進が進まないのは三者とも「品質に対する不安や信頼感」がおおきなウエートを占めている。
厚生労働省はこれに対し、「平成21年度に実施する後発医薬品の使用促進策について」で「学会発表、研究論文等により、後発医薬品の品質に関する懸念を示す情報が得られた場合等において、厚生労働省において試験検査を実施し、その結果を公表する」としている。
しかし、今回の品質に対する信頼感への取り組みは前回のアクションプログラムとあまり差がなく、学会発表、研究論文にとりあげられなかったものはすべて安全とみてよいのか、検査公表後の対策はどうするのか等、不安要素も多く、品質の安心感が確保されたとはいえない。
多くの健保組合は後発医薬品普及の立場をとっているが、品質の安全保障が確保されないと一層の使用促進はできない。早急な普及を図れるように厚生労働省は不安払拭のさらなる具体策を示してもらいたい。 |
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(S・Y) |
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