広報誌「かけはし」
 
■2009年6月 No.453
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●健保組合の位置づけ
 

 雇用保険・労災保険・厚生年金保険・健康保険等社会保険制度に携わって早や30年になる。
 ご存じのように、雇用保険制度は離職による生活保障や勤めていて自分磨きの研修の手助けなど、労災保険制度は仕事中の事故や通勤途上の事故による医療保障や生活保障。厚生年金保険制度は主に定年等による老後の生活保障。健康保険制度はそれ以外の事故や病気による医療保障制度等。
 健康保険組合の運営に携わりながらつくづく感じる。医療費抑制のために手を替え品を替え必死になって事業を行っている。ところが、保険料収入の40%以上にもなる納付金という、努力が報われない支出で運営を圧迫され、「百年に一度」とも呼ばれる金融危機のなかにあり保険料収入も減少し、どうにか予算を組んでいる。なんとかならないものか。
 業務で、ハローワークに出向くことがあった。ハローワークでは人があふれ、失業保険給付等相当な額になっていると思われ、雇用保険制度も厳しいものと感じていた。ところが、平成21年度の雇用保険料率が発表され驚いた。料率の引き下げである。給付も増え、財政も厳しいのでは?『なぜ?』
 社会保険制度のなかでも一生涯お世話になる医療保険制度。そのなかで大きな位置づけを持ち運営に努力している健康保険組合は、財政が悪化し保険料率の引き上げが相次いでいる状況。この安定運営に対して行政はもっと目を向けて欲しいものだ。

(第1地区 B・T)

   
●救急救命講座を受けて社会貢献しよう
 

 大手フィットネス・クラブに勤務していた数年前、この業界では平均的な数字ではあるが、年に2〜3件、心臓や脳に関する急病人が発生した。そのような方々のほとんどは大事に至らなく、回復後いわれることは、「フィットネス・クラブでよかった。そうでなければ生命も危うかっただろう。どうも有難う」だった。このフィットネス・クラブのスタッフは救急救命士の資格を持っており、クラブにはAED(自動体外式除細動器)が備え付けてあり、急病人への応急手当体制は完璧である。
 今回は健保組合従事者として、改めて大阪連合会の救急救命講座を受け、応急手当の重要性を再認識した。
 心臓停止後約3分、呼吸停止後約10分で50%の方が死亡するといわれている。一方、救急車が現場に到着するまでに大阪市の場合約5分(全国平均は約6分)かかっており、応急手当を行うことによって多くの命が助かることになる。AEDの設置場所も増えており、使い方も簡単ではあるが、やはり訓練を受けていなければ急なときに対応できないものである。救急救命講座の回数増と受講者拡大により、応急手当のできる人を増やすことが大切である。

(第2地区 T・T)

 
●後発医薬品使用促進には“安心”が大前提
 

 医薬品は適正に使用すれば“クスリ”といわれるが、量や選択を誤れば“毒”になってしまう。また、高血圧や糖尿病などでは長期にわたって服用するし、患者が高齢であったり、合併症をかかえていたり、アレルギー体質であったりするので、医師や薬剤師が安心して薬を処方(調剤)するには、製剤として信頼できること、いつでも関連情報を入手できること、数年間は同じ薬を継続して供給することが重要だ。患者を介して医師・薬剤師・製薬企業がいつでも情報交換できる環境ならばさらによいだろう。
 ところで、後発医薬品使用促進策は、処方箋様式を変更したにもかかわらず低調と聞いている。調剤薬局では、在庫負担や説明時間増などのリスクを恐れて消極的なようだ。確かに複数(降圧薬アムロピジンの後発医薬品は34社、抗菌薬クラビット23社など)のなかから信頼できる後発医薬品を選択するのはたいへんだろう。また、一部の後発医薬品企業が、医療関係者の信頼を得るだけの努力をしていないこともひとつの要因だろう。今後、大手製薬企業や海外後発医薬品企業が後発医薬品市場に本格参入し、企業再編が進めば医療関係者が安心して使用できる状況になるとは思うが、いまは過渡期として長い目で見守るべきなのかもしれない。
 今年度の政府予算案での高齢化に伴う社会保障費の自然増の削減(2200億円)は、特別保健福祉事業の廃止で生じる余剰金1370億円と道路特定財源の一般財源化による600億円を充当し、実質的な削減は後発医薬品の使用促進による230億円だけとなっている。これを実現するには医療関係者が患者のために安心して使用できる環境をつくることが近道だろう。社会保障目的税の導入などにより国民が安心して医療を受けられる環境が整備されることを望みたい。

(第3地区 K・E)
 

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へ送ってください。
問い合わせは、健保連事務局・辰巳(06-4795-5522)へ。