■2009年3月 No.450
若年層からの「運動」教育を
− 生活習慣病予防のために −
2月1日から7日までの「生活習慣病予防週間」では、生活習慣病予防対策全般について一層の推進を目的に、定期的な運動習慣の獲得、正しい食生活の確立、禁煙、定期的な健康診査の受診等が図られるように、集中的に広報・宣伝や情報提供などが実施された。
一方で国民の健康づくりの実態として、平成20年12月に発表された「平成19年国民健康・栄養調査結果」によれば、日常生活における平均歩数は、男性7321歩、女性6267歩という水準にとどまり、「健康日本21」の目標値である男性9200歩、女性8300歩に対して、男女ともに2割以上も下回っている。
また、同調査では、「1回30分以上の運動を週2日以上実施し、それを1年以上継続している者」のことを「運動習慣のある者」と定義して、年齢階層ごとにどれほどの割合かを調査している。その結果によると、60歳代では男性36・3%、女性40・0%、70歳代でも男性39・3%、女性28・4%が「運動習慣がある」ということになっているが、若年層(20〜 30歳代)では10%台後半から20%台前半にとどまっている。
各年代で健康づくりの運動に費やすことのできる持ち時間が違うのかもしれないが、単純に現在の年代別の運動習慣に対する意識の結果とみると将来がなんとも不安になる。これらの人たちが40歳代、50歳代に差しかかったときには、いま以上に生活習慣病の有病者が増加しているかもしれない。
運動は疾病を予防し、活動的な生活を送る基礎となる体力を増加させるための基本的な身体活動である。ますます便利になっていく社会生活のなかでは、意識して体を動かし、習慣としなければ運動する機会は減少の一途をたどることは目に見えている。
最近の子どもは体力が落ちているといわれているが、学校教育での運動に対する取り組み方にも問題があるように思う。学校体育で中心となって教える運動の基礎となる技術の習得は大切だが、生涯にわたって健康を維持するために、運動は大切な要素であるということを、もっと力をいれて教育する体制づくりが必要だ。
社会人となり、定期健康診断の結果で健康の大切さを知るのではなく、10代の頃から健康の大切さを教育していくことは、将来、生活習慣病の有病者数と医療費の削減につながるのではないか。
(K・K)