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■2009年1月 No.448 |

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12月18日、薬業年金会館で心の健康講座を開催。大阪大学大学院 医学系研究科
社会環境医学講座 公衆衛生学 准教授
大平哲也氏が「笑って!ストレス解消講座」をテーマに講演されました。(以下に講演要旨) |
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大平哲也氏 |
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「物体に圧力を加えることにより生じる歪み」という物理学用語が語源です。
多くの場合、職場や家庭での人間関係、経済的問題などを原因として、怒りやうつ症状などの心理的反応、頭痛、肩こり、腹痛などの身体的反応が起こり、喫煙、過食、多量飲酒などの対処行動に移り、肥満・高血圧・糖尿病、さらには脳卒中や心臓病を発症する危険性があります。 |
元々身体的な病気を持っている人の方がストレスの影響を受けやすいと考えられているため、日常、からだの管理や生活習慣に気をつけることが大切です。
食生活では、ストレス予防効果がある栄養素として代表的なビタミンCを含む野菜や果物をたくさんとる習慣をつけましょう。また、緑黄色野菜・レバーなどに多く含まれる葉酸、ビタミンB12や、青魚に含まれる不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸など)にもうつ予防効果があることが知られています。
また、定期的な運動も予防効果があります。米国の疫学研究では、身体活動量が少ない人は多い人に比べて、うつが起こりやすいことが報告されました。ただし、疲労がたまっているときは、かえって疲れすぎてしまう場合があります。運動後、汗がにじみ、さっぱりした気分になる程度の運動を定期的に続けることを心がけましょう。
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ある地域で男女6,455人の日常生活におけるストレス解消法を調べたところ、男性で一番多かったのは「飲酒」でした。少量の飲酒は心身をリラックスさせる効果がありますが、量が増えるにつれ、からだへの悪影響が現れ始めますので注意が必要です。また、3分の1が「とくになし」と答えていますが、運動や趣味によるストレス解消は、心身へのストレスの影響を弱める働きがありますので、普段からなんらかのストレス解消法を持つようにしましょう。
女性では、「家族や友人と話す・相談する」が1番でした。ストレスを感じたとき誰かに相談することは、心身への影響を弱める働きがあります。相談することで心理的な安心感を得られたり、原因が整理できることもあります。
このように男女を比べると、全体的に女性の方が上手にストレス解消を行えているようです。
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笑いと健康には大いに関係があることを証明するような、さまざまな研究が行われています。
例をあげると、「1時間の落語の後で関節リウマチの自覚的な痛みの程度、炎症の客観的指標が有意に軽快していた」、「喜劇映画を見た後、アレルギー反応が低下していた」、「糖尿病患者さんに漫才を見てもらったところ、血糖値の上昇が抑えられた」などがあります。
また、普段声を出して笑う頻度が多い人ほど落語や漫才などのストレス解消効果が強く(ストレス関連ホルモンの低下が顕著)みられました。
さらに、笑っている間の消費カロリーは安静時から10〜20%増加し、1日10〜15分間の笑いは1日のエネルギー消費を10〜40キロカロリー増加させます。「腹がよじれる」というように、無意識に腹式呼吸をすることでリラクゼーションを導く効果もあります。
このように、生活のなかに笑いを取り込むことが重要です。自分にとって笑いのもとはなにかを考えて実践することや、一緒にいて心地よい人との付き合いを増やすなど、笑いを増やすことでよい人間関係が構築され、それが長生きの秘訣になるのではないでしょうか。
最後に一言、「薬」は自分にしか効果はなく、副作用も存在します。しかし、「笑い」は自分だけでなく相手も癒すことができるのです。「笑い」を意識した日常生活を送ることをお勧めします。 |
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