広報誌「かけはし」
 
■2008年11月 No.446
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●負担の押し付け、もうやめて!
 

 厚生労働省は、平成21年度予算概算要求(社会保障費21・4兆円)を財務省へ提出した。自然増のうち2200億円の削減に対応する具体策は、現状では、後発医薬品の使用促進や雇用保険の国庫負担カット等が有力視されているが、協会けんぽ(旧政管健保)への国庫負担を削減し、健保組合等へ肩代わりさせる案も引き続き提案される危険性がある。
 また、平成21年1月から予定されている産科医療補償制度の発足に伴い、出産育児一時金が現行の35万円から3万円引き上げられ38万円となる案を、厚生労働省が、社会保障審議会医療保険部会に諮り、了承された。
 引き上げられる3万円は1分娩あたりの損害保険料(掛金)であるとの説明であるが、本来、医療事故等に関しては、分娩機関が損保会社と個々に契約し保険料(掛金)を支払うのが筋であるにもかかわらず無視し、健保組合等に負担を押し付けるのは、もうやめて!
 医療事故の危険性が高い産科医の処遇改善措置を国策として取り組むのであれば、費用については、国庫補助金で賄うのが当然と考えるが、如何。

(第4地区 T・I)

   
●判定基準の見直しを!
 

 特定健診制度がスタートし、今年度は事業主健診の特定保健指導の実施率の目標を初年度ということで10%、家族健診の受診率は30%(これまでの配偶者健診では20%程度)を掲げています。家族健診については、受診券発行を見合わせる状態が続いているため、配偶者健診を家族健診に拡大して対応を図っており、特定保健指導は来年からの予定です。
 一方、事業主健診は、受診率について問題ない(と思っている)のですが、現在手元にある3割ほどの階層化結果を見て唖然としております。ある程度受診勧奨者は多いだろうと覚悟していたものの、積極的支援者の5割にも達しており、その内7割が血圧異常で3割が脂質異常でした。
 保健指導判定基準は、受診勧奨判定基準より低めに設定せざるをえないため、かなり厳しい低い数値が設定されているようです。受診勧奨判定基準は、各臨床学会が定めている診断基準に準じています。しかし、日本の臨床学会の一部の基準には、国際的に乖離しているものがみられるそうです。
 厚生労働省は、国民の立場に立ってこれらの基準をチェックする立場にあるはずなのに、そのまま受診勧奨判定基準に用いているようです。このままでは、医療費削減どころか無駄な医療へ導かれることが懸念され、受診勧奨判定基準の見直しを期待しています。

(第5地区 T・N)

 
●健保組合の役割
 

 高齢者医療制度に関するマスコミ報道は、年金からの保険料天引きや健保組合の負担ばかりを取り上げ「(前略)膨張する医療費を支える仕組みを机上で描いたまではよかったが、実際に制度を動かすための念入りな準備という最低限の責務を厚労省は怠った。(後略)」(日経新聞10・8朝刊)としているが、特定健診の進捗に関する報道は少ない。
 受診券を基点とするシステムはデータファイルの認識不足で軌道に乗らず、従来の市町村健診も「健保の組合員は受診できません」と言われたとの相談が多数あった。これも「念入りな準備」を怠った結果ではなかろうか。
 国民の健診機会を増やしメタボリック症候群の発症を未然に防止することが本来の目的であると理解していたが、現状は健診機会を減少させることになっている。
 当健保では、対象被扶養者に事業所健診を個別に案内し50%超の申し込みがあった。事業所での受診が無理な方には立替払受診を案内したところ、補助金申請書の請求も多数きている。国民目線からほど遠い制度運営のもとでは、健保組合の自主的な活動が重要となった。
 従業員と家族のワークライフバランスの実現を事業主とともに担う健康保険組合を目指したい。

(第6地区 S・K)
 

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へ送ってください。
問い合わせは、健保連事務局・辰巳(06-4795-5522)へ。