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超高齢化社会に突入したわが国において医療費の増加は避けられない状況にあり、医療費の適正化は厚生労働省にとって最重要課題となっている。
そこで、厚生労働省は医療制度改革のなかで、医療費削減を目的として、平成18年度の診療報酬改定で後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進を図るために処方せん様式の見直しをおこなった。
しかし、その使用がいまだ少ないため、平成20年度の改定では処方せん様式について、いままでの様式とは逆に、後発医薬品への変更に問題がある場合に、医師は「後発医薬品への変更不可」欄に署名もしくは記名・押印する様式に変更した。
これにより、厚生労働省は後発医薬品の使用が増え平成20年度予算で社会保障費の国庫負担約1000億円の削減を見込んでいる。
また、国は「経済財政改革の基本方針2007」で後発医薬品の数量シェアを平成24年度には30%以上(平成17年9月薬価調査では17%)にする目標をかかげ、4300億円の医療費削減を目指している。
しかしながら、後発医薬品の普及は進んでいるのであろうか?
安定供給体制の問題以上に、いまだ医師、薬剤師には品質、効能等に対する不安感があるようだ。
厚生労働省も不安感について把握しており、対策として、安心して使用できるように、昨年10月に「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」を策定し、そのなかで品質確保をあげている。
また、国立医薬品食品衛生研究所にジェネリック医薬品品質情報検討会を設置し、後発医薬品の文献について検討のうえ必要に応じて試験検査をおこない検査結果の積極的な公表をすることとし、今年7月に初会合が開かれたところである。
健保組合としても、医療費の適正化の立場から後発医薬品の普及には賛成である。しかし、品質、効能等に対する不安が払拭されないと普及は難しく、広報だけでは限界もある。
処方せんの様式変更による普及状況は中医協の調査結果を待つことになるが、迅速な実態把握を望むと同時に、厚生労働省は医師、薬剤師に対して、後発医薬品の使用促進にかかる不安払拭の努力と、なお一層の安全対策を実施のうえ後発医薬品のさらなる普及を図られたい。 |
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(S・Y) |
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