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平成20年度政府予算案に関連する「政管健保への国庫負担の肩代わり」については、当初の厚生労働省案が修正され、政府は健保組合に750億円程度の協力を要請し、健保連としても今年度限りの措置として苦渋の選択をした。
その際、厚生労働省は協力要請のなかで「政管健保の納付率の向上など一層の経営努力を求める」としている。また、健保連としても「政管健保における自主努力の実行」などを平成20年度政府予算に関連する要望事項としてあげている。
このような状況下、平成20年10月から社会保険庁の組織変更により、非公務員型の公法人組織で、「政管健保」の事務を引き継ぐ「全国健康保険協会」が発足する。今回の健保連の要望に対し政管健保を運営している社会保険庁の努力はもちろん、全国健康保険協会は、より一層の経営努力が求められるところである。しかしながら、社会保険庁の分割案では全国健康保険協会の業務は健康保険給付、レセプト点検や保健事業が中心で、適用業務や保険料徴収業務は当面、国として社会保険庁(将来は日本年金機構)が行うことになっている。
通常、健保組合などの保険者は保険者ごとに自主独立した組織であり、加入員の保険料収入と医療費、拠出金などの収支バランスに重点をおいて安定した事業運営を目指している。
全国健康保険協会の運営は、収入を確保するべき適用・徴収業務を自ら行わずに、保険給付などに必要な財源は国から受け取る仕組みとなっている。これでは保険者として収支のバランスをとるという発想が働くのか否か疑問が残るところである。
このようなことから、前述の厚生労働省の約束事項である「政管健保の納付率向上」については、社会保険庁の努力を待つほかない。「政管健保への国庫負担肩代わり」が無駄にならないように全国健康保険協会が保険者機能を十分に発揮し、保険給付の適正化を図ってもらいたい。また、各種経費の節減に努め、社会保険庁との連携を密にしたうえで収支バランスを保つなど経営努力を切に望む。 |
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(S・Y) |
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