■2008年2月 No.437
健保組合に対する厚生行政の方向は?
─ 新たな組合間格差を造るのか ─
いまさらいうまでもないが、健康保険組合を設立するには、厚生労働大臣の認可を要する。運営のために規約認可が必要とされ、細部にわたり、さまざまな基準により、適否が判断される。
健康保険組合は、事業主と被保険者の代表によって運営されることを基本としており、その利点(メリット)は、
@事務処理の効率化および適正化が図られる
A経費の節約
B財政上実態的な運用および操作
C事業内容および運営を自主的に事業所の実態に対応できる
D労使間の協調関係
などがあげられる。また、保険料率の設定、付加給付の実施、実態に即した保健事業の実施が自主的に決められると、先輩方からも教えられてきた。
ところが、昨今の厚生行政をみていると、この健保組合をもつ一番大きなメリットが胸を張って後進に引き継げなくなってきた。4月からの特定健診・特定保健指導の取り組み方も制度間でそれぞれ苦慮していると聞く。すでに、保険料率、付加給付、保養所、診療所等において健保組合間で差がでてきている。
さらに、被扶養者間で被用者の所属する健保組合によりサービスが違ってくることになる可能性もでてくる。このことにより今度は健保組合間格差を被扶養者まで広げるつもりなのか。
今回の健保組合の政管健保に対する国庫負担肩代わり問題も納得がいかない。「傾斜配分」とやらで、財政事情がよく保険料率が低い健保組合には負担の上乗せがある。これはいったいどういうことなのか。
そもそも肩代わり論自体が説明がつかないはずである。そこへもってきて、営々として築き上げてきた積立金や保険料率でもって財政良好健保組合とされるのはいかなることなのか。確かに健保組合間には業種、人員構成により積立金や保険料率に差がでてくることは認める。しかし、これには健保組合役職員の長年にわたる保険者の努力はなかったとするのか。今回の措置は、国がこのことを完全に無視している。
厚生労働省は年金問題でこれだけ社会保障制度が世間の耳目を集めているときに、また説明のつかないことをやる。新たな健保組合間格差をわれわれは事業主をはじめとする加入員にどう説明していくのか。
(H・O)