広報誌「かけはし」
 
■2008年1月 No.436

大阪連合会会長  加藤 幹雄

 新年明けましておめでとうございます。
 皆様におかれましては、健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 昨年を振り返りますと、政治の面では、夏の参議院選挙で与党が大敗し、その後安倍内閣が突然退陣して、福田内閣が誕生しましたが、衆議院と参議院との間でねじれ現象を生み、いまも政治の混迷が続いています。
 ご承知のように、主要国ではわが国の借金は世界最大であります。昨年団塊の世代の第一陣が定年を迎え、国民全体が高齢化社会に突入しており、構造改革を早く粛々と進めることが何より重要であります。
 にもかかわらず、今年度の政府予算案を見ても、どうも選挙を意識したばら撒き型の傾向が復活しており、深く懸念する次第であります。高齢者医療費の一部凍結や、診療報酬のアップ等であります。
 医療についてみると、昨年は医療制度改革関連法の初年度ということで、各健保組合が、特定健診・特定保健指導や高齢者医療制度、IT化等の諸課題に真剣に取り組み始めた年でありました。
 ところが突然夏になって、政府管掌健保に対する政府負担の肩代わり案が出てまいりました。これは、医療保険の一元化による財政調整につながるものであり、私どもは徹底して反対し、総力を挙げて行動いたしました。その成果もあって、年末には健保連の主張を一部配慮する形で修正案が出てまいりました。これをどうするか深刻な議論をしたわけでありますが、政府の予算措置としての最終の要請であり、苦渋の決断でありましたが、受け入れざるを得ませんでした。
 ただし、受け入れに際し、私どもは2つの条件をつけました。第一は今年度限りとして、今後かかる措置は二度と蒸し返さないこと、第二は前期高齢者への公費投入を早急に検討することであります。政府関係者は、ぜひこの条件を重く受け止めていただきたいのであります。
 第一の条件は、財政調整の考え方は将来にわたって制度崩壊を招く危険があり、絶対に反対であることを改めて明確にしたわけであります。
 第二の条件は、前期高齢者への公費投入がない限り、形を変えた拠出金制度が残ることは明らかであり、これは絶対に困るということであります。
 そのためには、2年後の基礎年金への国庫負担増と含めて、消費税を上げて、社会福祉税を設定する以外に方策はないと考えます。
 残された時間はありません。いまこそ、社会保障にからむ諸施策を政争の具にしないで、たとえ、一時的には不人気な政策であっても、国民が苦い薬を飲むという合意を形成する政治の強力なリーダーシップが必要であると思います。
 今年4月からは、特定健診・特定保健指導と、新しい高齢者医療制度がいよいよスタートします。人口高齢時代に突入し、2025年(平成37年)といわれる高齢化のピーク時を乗りきれるように、中長期的視点に立った医療や医療保険制度の改革を、私どもは望んでいます。関係者の皆様の英知を拝借しつつ、皆様とともに改革を進めていきたいと思います。
 今年は戊子(つちのえ・ね)の年です。「子」(ね)は「生命の種子が増えること」を表しています。国民全体の福祉が向上し、隅々まで行き渡ることを願ってやみません。
 最後になりましたが、皆様のますますのご健勝とご活躍を祈念して、私の新年のご挨拶とさせていただきます。