広報誌「かけはし」
 
■2007年9月 No.432
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●政管健保の国庫負担を
   健保組合に肩代わりさせる(案)はとんでもない
 

 新聞報道によると、厚生労働省は、政府管掌健康保険に対する国庫負担(年間8,400億円)のうち、2,200億円を削減し、健康保険組合や、共済組合に肩代わりさせる方向で検討に入った、との記事が掲載された。
 まさに、寝耳に水である。この件に関し、健保連は「医療保険の根幹に関わる問題であり、絶対に受け入れられない」と強い反対姿勢を示したが、当然のことである。先の参院選では、年金記録や事務所費問題・現職大臣の不適切な発言等、が一色となり、消費税の値上げ問題も封印されたままであった。ましてや、社会保障費圧縮に関し政管健保への国庫負担金をカットすること等、マニフェストになかったが、参院選で与党が惨敗し、我々健保組合に矛先が向けられたのである。余談であるが、自民党が惨敗した原因は、小泉内閣の構造改革以来、都市と地方をはじめ、さまざまな面で拡大した格差が人々の不安をつのらせ、政治不信が増幅したのであり、前政権の「ツケ」が一気に回ってきたのである。
 我々としては、平成20年4月から、医療保険者に義務化された、特定健診・特定保健指導をどう乗り切っていくかと頭を抱えていた矢先の報道である。ただうがった見方をすると、ここ最近は、組合全体における決算では、黒字をキープしている。それを狙った政府の仕業ではないかと思うが、筆者の思い過ごしであろうか。いずれにしても、平成20年度から特定健診・特定保健指導への新たな負担があり、また、新たな高齢者医療制度の創設に伴う、支援金・納付金等が重くのしかかる財政状況にある。そんななかにあって、厚生労働省の考え方は、乾いた雑巾を絞るような所為であり絶対に許し難いものである。

 

(第4地区 O・N)

   
●特定健診を受診しない被扶養者は認定を取り消す???
 

 言わしてんか!聞いてんか!の原稿依頼がきたので、改めて過去1年間の「かけはし」を読み直してみた。なんと、特定健診・保健指導について書いてある記事が19回も載っていた。年間記事のうち53%に達する。当然のことながらそれだけ健保組合が今回のことを真剣に考えており、また、これをどのようにすべきか悩んでいる証拠である。
 とすれば、タイトルに載せているように、国が特定健診・保健指導を健保組合(各保険者)に義務付けると同時に、保健指導は別にしても、特定健診を受診しない40歳以上の被扶養者(病院にかかっている方達は除き)は保険者が職権で認定を取り消してもよい!と決めてもらえば、健保組合としても事業として推進しやすくなり事業としても効果があると考える。
 しかし「おい、そんなことができるはずがないやろ」と自問する。そしたら全国に住んでいる @被扶養者に健診をどのようにして理解してもらうの?A被扶養者の健診をどうするの?Bパート先で受診している人のデータもらえるの?Cどうやってもらうの?
 特定健診を受けるだけでも効果はあるのだから、やはり健診を受診しない人は被扶養者から外すべきだ。
 しかし「おい、それと被扶養者の認定とは直接関係ないよ」と自問する。「やっぱり無理やな」と思う。そしたら、国が特定健診・保健指導を強制できないのに被扶養者まで健保組合(各保険者)に義務付けたのはおかしいのとちがうの。結局のところ、無理を承知でやれということか。国は、スクラップ&ビルドで保健事業を見直して、いまやっている人間ドックなどをやめて、特定健診に特化してはどうか?というが。当健保、約1,700名の被保険者数で、年間約130名の方々が人間ドックへ行かれるが、この方々へもうやめますとは言えません。

 

(第5地区 G・Y)

 
●自助努力も水の泡
 

 当健保にとって、このところ逆風が吹いて2連敗である。一つは傷病手当金不支給に対する審査請求にて取り消し決定が出たこと。もう一つは市町村医療費助成と健保付加給付金の優先問題において付加給付金を支給せざるを得なくなったことである。
 審査請求は、おそらく当健保にとって初めてのことと思われる。医師の意見欄は明らかに同一疾病に起因する病名と、薬剤の副作用的な、病名を特定できない包括的な病名となっている。審査のなかでの医師の意見書では、特定できない病名をもって別の疾病だと断じていたことが取り消し決定の根拠となったが、納得できるものではなかった。
 市町村助成については、健保から付加給付をしなければならない判例もあるとのこと。判例は国保と市町村の間のことのようである。世俗的にいえば「同じ財布」のなかの話であり、健保と市町村は「別の財布」である。そもそも付加給付は健保裁量であり、条例で健保の裁量権を制限できるものなのかはなはだ疑問である。条例の趣旨は重複給付の防止のはず、健保が支給しないなら市町村が助成すべきである。なお、病院も個人負担はないとして入院を勧めていることはないと思うが。
 医療費適正化のためのささやかな自助努力も水の泡となっている。

 

(第6地区 K・J)

 
 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へFAXで送ってください。
問い合わせは、健保連事務局・辰巳(06-4795-5522)へ。