広報誌「かけはし」

■2007年8月 No.431
加藤会長あいさつ(要旨)

 第166回通常国会が7月5日に閉幕し、参議院選挙もまさに終盤で、与野党のはげしい攻防が続いております。最大の争点は、年金問題となっていますが、医療や介護も含めた社会保障関係は、党派を越えて最善の策を生み出してもらいたいものだと思います。
 さて、昨年6月に医療制度改革関連法が成立して、平成24年4月までの長期にわたり、順次施行されることになっております。
 平成20年4月からは特定健診・特定保健指導が義務化されます。健保連ではこれに対応するために、健保連にとって初めてという壮大な事業構想、すなわち「健保組合共同情報処理事業構想」を打ち出し、IT化に対応したシステム開発を12月までに完了させ、平成20年4月の本格稼働を目指して課題を一つずつクリアしながら、鋭意進捗中です。
 これが実現しますと、保険者は生の健診データを集約し、レセプトデータとの突合により分析と発信ができるようになり、エビデンスに基づく医療費の適正化が進みます。また、安価で使い勝手のよいシステムが構築されるということで、ぜひ全健保組合でこのシステムを共有していきたいと念じております。
 健保連では、これまで説明会を実施するとともに、このシステムのメニューも順次皆様に明らかにしております。大阪連合会の各健保におかれましては、ぜひ全組合が参画されますことをご検討いただくようお願いする次第です。
 さて、政府は突然「社会保障カード」の導入を進めることを発表しました。これは年金の記録漏れが大きな社会問題となっているなかで、出てきた苦肉の策という感があるものの、年金・医療・介護を包括したICチップ付のカードが実現すれば画期的なことであります。
 先日、本部の理事会に厚生労働省の企画担当官が来席されて、健康保険証のカード化は、これまでQRコード付のカードという案で進めてきたが、この動きに対応して、この案は中止して、「社会保障カード」の動きを見たいとの釈明がありました。平成23年度完全実施を目指している、レセプトオンライン化と合わせて、このICチップ付の「社会保障カード」が実現すれば、医療のIT化をさらに進めることが可能となります。
 ただし実現には紆余曲折が予想されますし、なにより、IT化によって、医療の実態がより明らかになることに反対する勢力もおります。我々としては、動向をよく見守り、この実現のために的確に対応することが必要であります。
 とくに、この分野では先輩の、韓国やフランスの「ヴィタルカード」の前例をよく学ぶように関係者にはお願いしたいと思います。
 すでに、平成20年4月からスタートする後期高齢者医療制度の検討が始まっております。支援金を負担する我々の財政に大きな影響があります。この制度に、支援金を負担する我々が、意見具申ができる仕組みを取り入れるように強く要求する必要があります。
 税制改革の議論は選挙後に持ち越されていますが、前期高齢者への公費の投入を引き続き強く求めていく必要があります。
 さて、健保組合の財政状況は、小康状態にありましたが、再び厳しい状況になってきております。
 健保組合の平成19年度予算の集計によりますと、全体で2407億円の赤字見通しとなっており、約7割の組合が赤字予算を計上しております。
 大阪連合会の状況をみましても、平成19年度予算で207億円の赤字で、赤字組合は、昨年の106組合から132組合へと悪化しており、保険料収入に占める拠出金の割合も38.3%と増加して、財政状況は厳しさを増してきています。
 このような厳しい環境下ではありますが、多くの課題に真摯に取り組み、私たちの目指す「次世代につなぐ安心・納得の医療制度」へ全健保組合が、より絆を強めてこの難局を克服していくよう努力していきたいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。


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