健康保険の被保険者証(カード)については、昨年9月の厚生労働省の「医療保険被保険者資格確認検討会」で、平成20年度以降、被保険者証をカード化する保険者に対し、2次元コード(QRコード)を装着させることとし、さらに一定期間後には、全保険者に2次元コード付きの被保険者証(カード)に切り替えることを義務化する方針を打ち出した。
これを受け、厚労省は、年度内を目途にカード被保険者証に装着する2次元コードの共通様式を定め、健保連も3月末には省令改正等があるとみて、各組合に準備を指示した。
ところが、厚労省では、平成18年12月から翌年1月にかけてQRコード化(共通仕様案等)にパブリックコメントを求め、その結果、これまでに示されているQRコード記録項目共通仕様案の一部変更が生じたため、省令改正等が平成19年4月以降にずれ込むこととなり、準備を進めていた組合では、被保険者証のカード化が止まっている。
また、健保連あての通知ではさらに改正時期が遅れるとの見通しが示された。
一方、経済財政諮問会議のなかで厚労省は健康ITカード(仮称)の導入を検討し、平成19年度中に結論をまとめることとしていた。
健康ITカードはICチップを活用し、健康面の個人情報だけでなく、社会保障番号の導入まで検討していた。
今回のQRコード化の遅れがもし健康ITカード導入を考慮したものなら、到底数カ月で解決するとは思えない。
当初の被保険者証カード化の目的は、資格過誤によるレセプト返戻の解消である。これには、資格確認システムの構築が必要となる。
資格確認システムの構築には多大の投資と時間を要するが、健康ITカードのシステム構築には、さらに大がかりな投資等が必要となり、レセプトオンライン化の平成23年度に間に合うか危惧されるところである。
QRコード化、健康ITカード化いずれの方式をとるにしても、システムの構築を急がなければならない。
健保組合としては、QRコード化の過渡期を経て、健康ITカードに移行するものと、理解していた。
ところが、突然7月6日に厚労省から健保連への説明があり、「健康ITカード(仮称)」または「社会保障カード(仮称)」の検討の必要性、緊急度の高まりから、QRコード化にかかる省令改正案等について中止の申し入れがあった。今後は、早期に国としての明確な方針を固め対応策を示してもらいたいものである。 |