広報誌「かけはし」
 
■2007年5月 No.428
時評

柔道整復療養費の適正化にむけて


 柔道整復師の施術は、「償還払い」を原則とする療養費の給付制度のなかで、例外的に取り扱われている。
 保険者と柔道整復師の協定・契約に基づき、施術を受けた患者は要した費用のうち一部負担金のみを柔道整復師に支払い、残りの費用は患者から療養費の受領委任を受けた施術者が保険者に請求する「受領委任払い」により支給することとなっている。これにより、柔道整復師の保険取り扱いが容易になったことはいうまでもない。
 養成校も乱立し、毎年有資格者が激増し柔道整復師過剰時代となり、過当競争は激化してきている。
 たとえば、5人家族のうち1人が受療していただけなのに、5人全員を施術したとして施術録に記載した架空請求、施術回数を水増しした請求、また、柔道整復師の資格を持たない者が施術したにもかかわらず、有資格者が施術したとする不正な請求等が発覚している。保険者もこれら請求内容を確認のため医療費通知にあわせ「施術事実の確認」を患者照会しているが、結果は芳しくない。
 保険医療機関等が平成18年4月から、患者から一部負担金を徴収した際には、医療費の内容の分かる領収証を無償で交付することとなった。同様に柔道整復師にもまず、領収証交付の義務化を早急に実施すべきである。領収証を確認すれば、施術事実、施術料金がチェックできる。
 また、施術所の開設者と施術管理者の関係である。原則は施術所の開設者は受領委任に係る施術管理者である。開設者が施術を行わない場合は勤務する柔整師のなかから開設者が選任した者を施術管理者とする、となっている。
 しかし、開設者自身が勤務柔整師となり、施術管理者は別人がなっている。その施術所が名称、所在地を変更したら、開設者が施術管理者に、施術管理者であった者が勤務柔整師に、勤務柔整師が開設者となっている例もある。施術管理者が行政措置(受領委任取り扱い中止)を受けたとき、その開設者が別人(法人もある)の場合、何ら責任追及はなく、放置状態である。開設者にも施術管理者と同様に協定・契約に責任の所在を明確にさせ、「開設者=施術管理者」双方同等の責任を負うべきである。
 柔道整復療養費の適正化にむけ、開設者の責任の所在を明確にさせるとともに、領収証発行の義務化の早期実現を望むところである。

 

(Y・T)