広報誌「かけはし」
 
■2007年2月 No.425
     
   12月25日、薬業年金会館で広報研究会を開催し、今年で連続4回を数える健康保険組合連合会広報部長近藤洋太氏が「IT社会の広報活動」をテーマに講演されました。

●健保連の広報活動
 

近藤広報部長

 健保連の広報戦略には、@国民へ向けた意見広告やテレビCM、ホームページ等の「対外広報」。A健保組合へ向けた健康保険や健保ニュース、すこやか健保等の「対内広報」。B健保組合への支援となる広報資料や広報セミナー等の「支援広報」。以上の3つの広報があります。
 広報戦略として、異なった特性をもつメディアを組み合わせて、広報の相乗効果を引き出す「メディアミックス」(たとえば、新聞とラジオ)の手法や、訴求対象を徐々に絞り込んでいく「段階広報」の手法を用いています。

 
 
●ネット社会の光と影
 

 2006年現在でのインターネット利用人口は8529万人で、人口普及率は66.8%と、年々増加の一途をたどっています。とくに40代以上の年齢層の普及率が大きく上がっています。インターネットメディアの接触時間も、ラジオ・新聞を抑え、テレビに次ぐ2番目に長くなっています。
 ただしインターネットは、同じ考え(興味)をもつ者には広く開いていますが、そうでない者には閉ざされているという側面も見受けられます。インターネットはわがままなメディアであるといえます。まだ広報に向いているかどうか未知数です。
 健保組合もネット社会とは無縁ではありません。ホームページを開設している健保組合の割合が2年前の平成16年に比べ、約11ポイント増の40%にまで達しています。この数字だけを見れば、インターネットの利用も増加していると思われますが、以前、健保連から連絡を紙媒体で送付していた頃に比べ、現在のネットによる連絡に変更してから、アンケートなどの回答率が減少しています。これは、紙媒体ならば直接手元に届きますが、ネットだと自分から見にいかないとその情報が得られないので、実際にネットを利用してその連絡に目を通している方が増加しているとはいえないのではないかと思われます。

●健保組合と長寿社会
 

 現在、日本の平均寿命は、男性78.53歳、女性85.49歳と、世界でトップです。これには医療・医学の進歩や衛生環境の改善等の要因が考えられますが、国民皆保険の達成や、健康情報の普及もその一翼を担っていると思います。長寿=健康ということで、健康の維持・増進を目的に活動している健保組合、また広報活動は、現在の長寿社会の形成に貢献しているといえるでしょう。

●広報の基本とは何か
 

 まず「感謝とお願い」です。たとえば、「いつもトイレをキレイにご利用いただきありがとうございます。これからも皆様とともに清潔でキレイなトイレにしていきますので、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます」という張り紙です。これは最初に利用する人に感謝の意を表したあと、どのようにしてほしいかの要求を伝えています。  そして、ポジティブな視点をもつことです。「〜しないと〜できない」という表現よりも、「〜すれば〜できる」というほうが、受け手への印象が全く違います。  さらに、情報は鮮度が命です。いかに重要な内容でも、機を逃した情報にはなんの価値も見いだせないといえるでしょう。


◆開会あいさつ
 
広報委員長 三好 一裕
   カネボウ健康保険組合
   常務理事
 皆様方におかれましては、現在、平成19年度の予算(案)作成の準備におわれ、大変お忙しいなか広報研究会に多数ご参加いただきありがとうございます。
 現在、我々健保組合の大きな課題は、平成20年度からスタートする新しい高齢者医療制度と特定健診・保健指導の義務化であります。とくに、特定健診・保健指導の義務化についてはその内容がまだまだ未確定でありますが、各健保組合は今後の準備作業等で頭を悩ましておられると思います。なかでも、被保険者はもちろんですが、被扶養者の理解を得るための啓蒙・啓発活動が非常に大切であります。
 さて、本日は講師として健保連本部の近藤広報部長においでいただき、「IT社会の広報活動」をテーマにお話いただきます。近藤部長には過去3年連続でこの広報研究会で講演をしていただきましたが、その内容は広報文章の書き方やタイトルの付け方等、広報に関する実践的なものが中心でした。今回はもう少し大きな範囲で急速にIT化が進むなかで、健保組合の広報活動はどうあるべきかなどについてお話を伺います。