広報誌「かけはし」
  
■2007年1月 No.424

メタボリックシンドロームを予防・改善する運動

 
〜なかなか運動する気にならない、続けられない人へのアプローチ法〜
 

 12月6日、薬業年金会館で健康づくり教室を開催し、トータルフィット株式会社代表取締役で健康運動指導士の梅田陽子氏が「メタボリックシンドロームを予防・改善する運動」をテーマに講演されました。
 
●メタボリックシンドローム

梅田陽子氏

 肥満症や高血圧症、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病は、それぞれが独立した別の病気ではなく、内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満が原因であることがわかってきました。内臓脂肪型肥満であり血圧高値・中性脂肪値高値(もしくはHDL低値)・血糖値高値のうちふたつだとメタボリックシンドローム、内臓脂肪型肥満であり、うちひとつだと予備軍です。現在、予備軍を含めると中高年男性は半数があてはまります。内臓脂肪が蓄積すると脂肪細胞から悪玉アディポサイトカインが分泌され、その結果動脈硬化が促進され、脳卒中や心筋梗塞のような命にかかわる状況も引き起こします。血圧などそれぞれの症状が軽度であっても、危険因子の保有数で心臓病発症危険率は高まり、たとえばあてはまる危険因子が2つの人は約10倍、3〜4つの人は約31倍にもなります。自覚症状のない状態からの健康づくり(運動習慣の習得)が必要なのです。

  
●運動効果
 

 運動は、肥満の予防や改善だけでなく、肩こり腰痛・睡眠・血圧・高脂血症の改善、ストレス解消、不安やうつ状態の軽減、心肺機能・自律神経活動の向上、一部のがんの罹患を減らすなど、健康を守る総合的な効果があります。ご自身の心と身体のために、いまの自分ができる範囲から運動を実施しましょう。運動を始め継続するコツは、運動への興味度により変わってきます。つまり、運動に無関心な人は、いまの状態を認識し把握すること、セルフモニタリングをすることが重要となります。また関心はあるがまだ始めていない人は、運動の効果と負担を考えてみることが必要です。準備期、実行期、維持期などそれぞれに適したさまざまな方法(行動変容)で、実施・継続させて行動パターンを考えていくことです。

  
●健康づくりのための運動指針2006
 

 2006年8月、厚生労働省は、安全で有効な運動を広く普及することを目的に、運動指針を発表しました。健康づくりのための身体活動量の目標は「週23エクササイズの活発な身体活動で、そのうち4エクササイズは活発な運動を行う。メタボリックシンドローム改善が目的であれば、23エクササイズのうち10エクササイズは活発な運動を行う」となっています。
 エクササイズとは従来のスポーツなど運動だけでなく、歩く、掃除、階段昇降、子どもと遊ぶなどの生活活動を含む身体活動量を表す単位です。身体活動の強度を、安静時の何倍に相当するか、で表す単位であるメッツ(METS)に実施時間をかけたもの。カロリー換算する場合はエクササイズに体重をかけ1.05をかければ消費カロリーが算出されます。
 普段の生活でどのくらいエクササイズしているのか客観視していくことが必要です。自身の身体活動を具体的に知り、運動による恩恵を知り、行事・趣味・趣向に合わせ「誰と、なにをするのか、いつ、どこで、どのように」など、実際に行動できるように計画を立てます。そして、生活習慣病予防のキャッチフレーズになっている「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ」を毎日つぶやきながら自分自身や周りの方々の健康増進に役立てていきましょう!

 

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