
新年あけましておめでとうございます。
皆様におかれましては、健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
今年は亥年、「猪」は「猪突猛進」の言葉からも、達成するためにものともせずに突き進む力、向上心にあふれ、難関を突破する力強さを表しているようで、我々としても、このパワーで今年を歩んでいきたいと思います。
昨年は、我々社会保障の仕事に携わる者にとっても重要な1年でありました。
ご承知のとおり、昨年は二十数年ぶりとなる医療制度大改革の年となりました。内容は多岐にわたりますが、大きなポイントは3つあると思います。
まず新しい高齢者医療制度ができたことです。これにより我々が長年主張してきた不合理な拠出金制度は廃止の方向が決まりました。ただし我々が目標としてきた、65歳以上を対象とする制度ではなく、75歳以上となっており、公費の投入もこの範囲に限られています。
いずれこの点が解決を迫られることは自明であります。私たちは前期高齢者にも公費を投入することが必要だと考えております。さもないとまた形を変えた拠出金のような財政調整が復活するのではないかと懸念しています。
今年始まる本格的な税制改革論議のなかで、前期高齢者への公費投入が必要であることを強く主張していきたいと考えます。
第2は保険者による特定健診・特定保健指導が平成20年から義務づけられたことであります。医療費の適正化のために生活習慣病の予防に全力を挙げることはそれなりに評価できると考えます。
これまで健康診断というのは病気の発見のためであって、今回のように予防を目的とする大々的な試みは世界でも初めてのことであります。
第3はレセプトのオンライン化が平成23年度当初からと期限を切って義務化されたことであります。医療のIT化は我々が長年主張してきたことであります。日本の医療制度は世界に冠たる国民皆保険を支えてきたわけでありますが、医療のデータ処理による患者への適切な医療情報の提供では大きく遅れております。これが医療現場の生産性の向上の妨げになってきたと考えます。
その意味で、この2つ、特定健診・特定保健指導とレセプトのオンライン化は意義のある改革であります。我々保険者としては、長年主張してきた患者中心の医療を確立するための新たなツールが確保できる可能性があり、保険者機能を最大限発揮できる好機が到来したと考えます。この2つの事業のために、今年は全力を挙げたいと考えますが、時間が限られており、これを実効あるものにするために、必要な財政措置、実行上の問題点の解決を政府関係者に強く要請していきたいと考えます。
さらに我々は、いま議論されている、保険者の一元化・統合化には反対であり、このような動きには徹底して対抗する考えであることを確認しておきたいと思います。
最大の難題は自営業者の所得把握であり、一元化の先進国である韓国でもこれが解決できないために、制度上の不公平が大きな不満となっていると聞いております。
職域保険と地域保険が並存して、その間に適切な緊張と競争が存在することがあるべき姿であると考えます。
総務省が発表した平成17年の国勢調査によると、日本は65歳以上の高齢者が21%と世界最高である一方、15歳未満の子供の割合は13.6%と世界最低という、世界で最も少子高齢化が進んだ国であることが明らかになりました。
社会保障制度の支え手を確保するという観点から、少子化問題は我々にとっても関係の深いテーマであり、だれでも、いつでも、どこでも安心して生活できる社会保障制度を、将来にわたって確保するためにも、現役世代も納得して支えることのできる制度が求められています。
日本の未来と将来世代のために、国民皆保険、皆年金制度という、すばらしい財産を継承できるよう、皆様の英知と総力を結集し、さらに前進できる年にしたいと思っております。
さて、今年は選挙の年でもあります。4月には統一地方選挙、7月には参議院選挙が行われます。安倍政権になって、改革がスローダウンするのではないかと懸念されています。2007年問題といわれるように、団塊の世代の退職が始まる年でもあります。日本の将来にとって残された時間はあまりありません。今年をぜひとも改革をさらに前進させる年にしなければならないと考えます。
最後になりましたが、皆様のますますのご健勝とご活躍を祈念いたしまして、私の新年のご挨拶とさせていただきます。 |