広報誌「かけはし」
 
■2006年10月 No.421
時評

新 政 権 に 望 む
─ 今度こそ抜本改革の実現を ─


 日本に生まれたことを誇りに思えるようにという安倍総理も決まり、新しい日本の指導体制が船出した。誇りに思うとは、言い換えれば等しく天寿を全うできる社会、国である。この意味から新政権に期待したいのは、社会保障の真の抜本的な制度改革である。
 ここ10年来の医療制度改革は、都度「抜本改革」といわれてきた。「抜本」を辞書で引くと「物事の根本の原因を取り除くこと」とあり、「抜本的」とは、「根本にさかのぼるさま」とある。しかし、何度、このお題目で制度改革がなされてきたことか。そして小手先だけの改革でとても「抜本的」といえない改革でお茶を濁してきたことか。そのことが2、3年、へたをすれば施行前ですぐメッキが剥げ、つじつまが合わなくなって、再度、改革、改革と言わなければならない状況を引き起こしてきた。
 「少子高齢化」がいわれて久しいが、人口構造の変化は、受け入れざるをえないし、そのなかで制度を作っていかざるをえない。つまるところ、負担と受益の世代間闘争は避けて通るわけにいかず、これをいかに国民に説明、納得させられるかということで、一部の団体の圧力に屈してはいけないし、ましてやよくいわれる目先の選挙対策であってよいはずはない。
 我々国民もどこまでを国が面倒をみるか、いわゆる「公負担」の割合、税か保険料かという所得再分配を真剣に考える必要がある。
 過去の社会保障政策の行き過ぎ、過ちを今更どうこういっても所詮、仕方のないことである。マスコミも不安を増長する報道ばかりでなく、いかに現在の状況および将来の展望を説明し、国民を納得させられるかということが大事である。
 他国の例をまねるのではなく、衆知を結集してまねられる制度を実現すべきであり、もうすでに、そこまで追いつめられてきていると思う。
 日本に生まれてきたことを誇らしく思うために、「国家百年の計」に立った制度改革に真剣に取り組んで欲しい。

  (H・O)