広報誌「かけはし」
 
2006年9月 No.420
不整脈について
 
 8月4日、健保連大阪連合会大会議室で健康セミナーを開催し、健保連大阪中央病院循環器科部長柳光司氏が「不整脈について」をテーマに講演されました。

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柳 光司氏

 心臓は、血液を全身に送り出す、ポンプの役割をする臓器で右心房、左心房、右心室、左心室の4つに分かれています。
 不整脈のなかで一番多いのは脈が飛ぶ「期外収縮」です。そして、脈が遅くなる「徐脈」、速くなる「頻脈」があります。心臓に異常刺激がおこり、正規の拍動のほかに付加的収縮による拍動が加わるもので異常刺激発生の部位によって洞性、心房性、房室性、心室性期外収縮に分けられます。心臓を動かしている3つのペースメーカーとして、必要な心拍数をつくる洞結節、心房と心室間の電気の中断所の役割である房室結節、肺や全身へ血液を送る役割の心室があります。この拍動が早くなったり、遅くなる症状を「不整脈」といいます。不整脈の話をするには、心電図の話をすることとなりますが、非常に説明するのは、むずかしくわかりにくいと思います。
 不整脈とは、心拍数の異常および正常心拍リズムの乱れをいいます。大きく3つに分類され一番多いのは脈が飛ぶ期外収縮(心房性期外収縮、心室性期外収縮)、脈が遅くなる徐脈(洞機能不全症候群、房室ブロック)、速くなる頻脈(心房頻拍、心房粗細動、発作性上室性頻拍、心室頻拍、心室細動)に分類されます。
 不整脈を診るための検査には、心電図、胸部X線、血液検査、ホルター心電図、モニター心電図、運動負荷心電図、心臓超音波検査などがあります。電気の生じるところ以外から刺激が早めに心房からでる「心房性期外収縮」、心室から出る「心室性期外収縮」の治療については、基礎心疾患の有無、自覚症状の有無により治療方針が異なります。
 基礎心疾患をもたず、自覚症状なしの場合、多くは自然経過をみます。自覚症状がある場合は、抗不整脈薬の適応となります。一般的に重篤度は低いため特別な治療はせず精神的、肉体的疲労や喫煙、飲酒などの発生誘因を取り除くような生活指導を行います。不整脈の重症度は0〜5度の6段階に分類されます。3度以上は危険度が高く一般的に治療対象となります。「心室頻拍」は高頻度の異所性心拍が心室に発生したもので持続性と非持続性があります。これらは非常にこわいものです。突然死の予防、自覚症状の改善、ポンプ機能の改善など種々の治療が行われています。
 「心房細動」は心房の拍数が不規則かつ高頻度になるもので心収縮力の低下をきたし、血栓、塞栓性を合併するリスクが高くなります。小渕さん、長嶋さんがこれであり、加齢に伴い増加し、今では65歳以上の高齢者で5%が心房細動をもっているといわれています。そして、塞栓症予防に多くはワーファリンが使われます。徐脈性不整脈(洞機能不全、房室ブロック)でペースメーカーの治療をした人は、手術後2カ月間は腕を高くあげない、ぺーメーカーの入っている上を圧迫しない、ペースメーカー手帳を必ず携帯するなどの注意が必要です。また心臓ペースメーカーに影響を及ぼす可能性のある機器は、特に低周波治療器、盗難防止装置、全自動マージャン卓、溶接機、MRI、などがあります。その他には携帯電話、無線機、電磁調理器、電気ドリル等があります。
 不整脈を持っている人は発作の予測ができないので、ストレスを避ける、大酒、タバコを控えるなど、不整脈のきっかけをつくらないようにすることも大事です。不整脈を持っている人はその人の背景、生活様式、発生機序、誘因などを考慮し、治療法を決定し細かい生活指導が必要となりますので、遠慮なく受診していただければさいわいです。