広報誌「かけはし」

■2006年8月 No.419
加藤会長あいさつ(要旨)

 医療制度改革関連法が6月14日に成立しました。
 今回の結果についての評価は種々あるとは思いますが、国会議員への要請活動を含む皆様方の地道な活動により、我々の意見も多く取り入れられており、それなりに評価できると考えます。
 主なポイントは4つあると思います。
 第1は高齢者を経済的弱者と見ないで、きっちり負担すべきものは負担してもらうことをはっきりさせたことです。
 この10月から70歳以上で、夫婦で520万円以上の年収のある人は現役並みの3割負担となります。
 第2は新しい高齢者医療制度ができたことです。これは我々が一番関心を持ってきた点でありますが、過渡的な措置は残るものの、我々が最も反対してきた拠出金制度を廃止することを決めたこと、我々の負担を特定保険料という形で別建てにしたことは、評価できると思います。
 第3は予防を重視することを明確に打ち出して、特に生活習慣病予防のために、我々保険者が扶養家族を含む40歳以上を対象に、健診と保健指導を行うことを義務づけたことです。
 第4は2011年度初頭までにレセプトの電子化とオンライン化を実現することを決めたことであります。
 今回の制度改正は段階的に実施されることになっており、21項目の附帯決議も採択されています。また、健保法等で365項目、医療法等で75項目、合わせて440項目もの政省令・告示事項が順次施行されることになっています。
 我々としては今回の改革が実効あるものになり、今後さらなる改革につながるようにするために、情勢をよく見極めて、皆様とともに行動を続けていく必要があります。
 特に、新しい高齢者医療制度は多くの問題点があります。前期高齢者には公費を入れないという制度設計となっていますが、これではいずれ制度が危機に瀕して、またぞろ我々に追加負担が求められる恐れがあります。これから活発化する消費税の増税の論議のなかで、ぜひ、前期高齢者にも公費を投入することを強く求めていく必要があると思います。
 健診と保健指導の義務化でありますが、これは我々が取り組む新しい課題であります。
 具体的にどうやって、それぞれの健保が効率的にしかも実効が上がるように進めるかについて皆様は悩んでおられることと思います。
 大阪連合会としましても本部とも連携して、この課題に取り組んでいきたいと思います。
 この点で我々の身近にある大阪中央病院が皆様のためにもっと積極的な役割が果たせるのではないかと思っています。私事ながら、私はこの4月から、今健保連本部の大阪中央病院のあり方を検討する会の座長を務めていますが、この会でも、その点が議論されています。皆さんの健診・保健指導のための健診センター、健診データセンターのような役割を果たすことを検討したいと思っています。
 今回の改正のなかで一番のサプライズはレセプトの電子化が期限を切って一挙に決まったことです。
 これには医師会の反対で躊躇する厚生労働省を、内閣府が強く後押して実現したと聞いています。
 我々がずっと主張してきたことではありますが、これも我々にとって新たな課題であります。
 費用がかかることでもあり、長期的な視野に立った合理的・効率的なシステムの構築が要求されます。皆様とともに、健保連の組織として、叡智を集めて進めたいと思います。
 さて、健保組合を取り巻く状況は依然厳しさが続いています。
 健保組合の平成18年度の予算を集計したところ、1091億円の赤字の見通しであります。
 大阪連合会の健保組合の状況を見ても、平成18年度予算では47億円の赤字の見通しとなっています。赤字組合も昨年の94組合から106組合と増加しています。
 保険料収入に占める拠出金の割合は35・6%であり、急速な高齢化に伴い依然財政が不安定となっています。
 このような困難な環境下ではありますが、我々としては、今の国民皆保険制度をなんとか守っていかねばならないと思います。
 そのために、さらなる改革を訴えて、今後も積極的で強力な活動を続けていく必要があると考えます。
 先ほど述べましたように、これから、今回の改革法に伴う、各健保組合での対応や、実施に向けた作業もいろいろ入ってくることと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。


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