広報誌「かけはし」
 
■2006年6月 No.417
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●診療報酬改定について思うこと
 

 本年4月より、診療報酬改定が行われた。
 診療報酬本体の改定△1.36%、薬価等の改定△1.8%、合計△3.16%と過去最大であった。また、医療費の内容の分かる領収証発行の義務化、ジェネリック医薬品使用促進のための処方せん様式の変更、禁煙治療の保険適用等が行われた。
 厚労省は、医療制度改革による健保組合の財政影響は、試算段階では2,200億円の負担増としていたが、最終的に△600億円とした。
 そのうち診療報酬引き下げ△3.16%は△1,700億円に相当する計算である。しかし、これには医療機関、つまりお医者さんが良心的に処方し、処方せんが発行されるという前提条件があると思う。新薬と同等の効き目で値段も安いジェネリック薬についても、積極的に処方してもらえるのだろうか?
 「国家の品格」という本が売れている。社会全体の拝金主義や、「勝ち馬に乗れ」の風潮を戒めている。△1,700億円が絵に描いた餅にならないために、今回の改定で医療機関に求めたいのは、品格あるフェアな処方である。
 しかし、お医者さんのお世話にならないように心がけるのが、一番だ。
(第1地区 T・Y)

   
●ニコチン依存症は疾病か?
 

 今回の診療報酬改定でニコチン依存症に対する禁煙外来が保険適用になったが、治療に欠かせない薬ニコチンパッチを以前と同様に保険適用外とするとの厚生労働省の見解を受けて、医療機関、患者の間で混乱が起きることとなった。結局は厚生労働大臣が急きょ保険適用の認可をするということで、この事態を収めた。
 このような混乱が起きるのは健康保険法で給付対象としている「疾病」の定義にニコチン依存症が該当するのか議論の余地が残されているからではないだろうか。今回の改定は将来、喫煙が及ぼす生活習慣病になる患者が減り医療費削減が見込まれるという予防医療の見解があるらしい。予防医療は確かに大事だが「予防」と「疾病」は明らかに異なるのではないか。がん治療など保険適用外の最先端治療や新薬を使用して命がけで治療している患者は全額自己負担していることを考えると、「朝起きて一服、食後に一服」といった生活の一部の結果としてのニコチン依存症の治療に国民の保険料を使用してもよいのだろうか。
 今回のように「予防」と「疾病」を混同するような診療報酬を容認するようであれば、将来、医療が誰のため、何のためかも曖昧になっていくような気がしてならない。
(第2地区 M・M)

 
●ちょっと一言
 

 今国会で審議されている「医療制度改革関連法案」。医療保険制度については、国民皆保険を堅持し、将来にわたり持続可能な制度としていくため審議されている。
 少し内容を覗いて見ると、まず医療費適正化の総合的な推進として、生活習慣病予防の徹底、効果・効率的な健診と保健指導の実施を義務付けし、その事業成果の評価を行い、後期高齢者支援金の負担額等について「加算・減算」の措置を実施するとある。また新たな後期高齢者医療制度は現行の老健法を改正し「高齢者の医療の確保に関する法律」と名称を改め、現役世代から保険料を財源とした「支援金」制度を導入し、さらに前期高齢者の医療費に係る「財政調整」制度を創設する。現行の退職者医療制度は廃止されるが、平成26年度までの間現行制度を存続させる経過措置が実施される。
 次に医療保険者の再編・統合のなかで、政管健保を国とは切り離した全国単位の公法人を保険者とし都道府県ごとに地域の医療費を反映した保険料率を設定するなど。これは総合健保である当組合の編入促進にとって強力なライバルが出現することになる。
 組合財政の安定化を、拠出金の廃止と新しい高齢者医療制度の創設に期待したが、改正案は「調整金」「支援金」と名前を変え存続し「退職者拠出金」も残り、納得しがたい方向に進んでいる。はたしてこの改革は将来にわたり持続可能な制度なのか甚だ疑問を感じ危惧するところです。
(第3地区 Y・I)

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へFAXで送ってください。
問い合わせは、健保連事務局・辰巳(06-4795-5522)へ。