広報誌「かけはし」
 
■2006年5月 No.416
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●医療費改定雑感
 

 18年度の診療報酬改定は3.16%の引き下げで決着がつき、個別点数も見直され、4月から実施された。
 本体部分の引き下げを巡る財務省と厚労省の主張の隔たりは、官房長官の提示した線でまとまったが、足して二で割ったような決着は改定にまつわる不透明さを改めて露呈した感がある。
 一方、トップの責任問題にまで発展するほど改定に敏感な診療サイドの動向も注目された。しかし、官邸主導の流れに付け入る隙がなかったのか、抵抗勢力呼ばわりされるのを避けたのか、この辺りの事情は定かではないが、動きはこれまでにも増して鈍かった。
 過去2回の改定の結果を引き合いに、「事を構えなくても、この程度の引き下げなら何とでもなる」との予断でもあったとしたら(?)試算されている4500億円の改定による財政効果など、絵に描いた餅となりかねない。
 出来高払い中心の診療報酬体系は診療サイドのさじ加減次第、「江戸の敵を長崎で討つ」なんて料簡だけはご免こうむる。
(第4地区 T・M)

   
●増え続ける「心の病」に思う
 

 当組合被保険者の医療機関受診率の推移をみていくと、精神疾患は、平成一桁台は大して目立つような疾患ではなく、受診者数も大体一定数で推移していましたが、平成二桁台に入ってから受診者数が伸び始め、今では高血圧症に続く受診率になってしまいました。
 心の病の影響は、医療費だけではなく、一般に長期の療養が必要になることから、傷病手当金の伸びにも表れ、当組合では、数年のうちに4倍弱の金額に膨れあがってしまいました(来年4月より傷病手当金の支給対象から任継被保険者が除外されることは、赤字財政続きの当組合にとっては、ささやかな朗報でした)。
 今では、メンタルヘルス対策は、事業主に対する側面支援とはいえ、当組合の保健事業のなかで、生活習慣病健診に次ぐ重要な分野になりました。2年前、外部委託の業者を電話カウンセリング主体から面談主体の業者に変更したところ、相談数が伸びて、事業として成果が上がったとはいうものの、担当者としては複雑な心境でした。将来、メンタルヘルス対策が重要性の低い事業として、組合会に廃止を上程する日がくることを願っているのですが、そのときはそのときで、また新たな「○○病」対策に追われているのかしら…?
(第5地区 A・K)

 
●保険者協議会の活発な行動を
 

 大阪府では昨年の3月30日に設立された保険者協議会は、今年の1月には全都道府県において設置された。
 その設置目的は、医療保険制度を越えて異なる保険者が、都道府県単位で連携・協力して、医療費の調査・分析や保健事業の共同実施・情報交換を行うことである。
 また、現在国会に提出されている医療制度改革関連法案においても、保険者の健診・保健指導の義務化は20年4月から40歳以上加入者を対象に実施するが、健診受診率を高めるための対応を保険者協議会に求めていくとのことである。将来的に、その実施状況により、今国会に提出されている高齢者医療制度の後期高齢者支援金にペナルティー的な仕組みを取り入れるとのことであるが、現実にはその活動は遅々として進んでいないように思われる。
 今後は、具体的な施策が示され動いていくだろうが、その効果が医療費適正化に即つながるものでないため、長い目で見守っていかなければならない。
 また、協議会における事業の実施主体は保険者の統合・一元化について健保組合と意見を異にし、利害が相反する国保連合会であり、また、都市圏と地方都市における健保組合設立数のアンバランスの問題、職域と地域の問題等をどのようにクリアしていくのか難題が存在する。しかし、活発な行動を推進するためにはお互いが積極的に協力し合い、健保組合として具体的な事業施策を提示する等のアクションを起こし、実りある協議会に育てていかなければならないと思う。
(第6地区 M・N)

 

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へFAXで送ってください。
問い合わせは、健保連事務局・辰巳(06-4795-5522)へ。