広報誌「かけはし」
 
■2006年4月 No.415

 

18年度事業計画と予算決まる
−医療制度改革の早期実現に全力−



 
 健保連大阪連合会は3月28日、グラスミアハウスで総会を開き、平成18年度の事業計画と収入支出予算を決定した。

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 健保連では、7月に「新たな高齢者医療制度を含む医療制度改革に向けての提言」を決定、11月の全国大会において、厚生労働省の「試案」が、極めて不公平、不透明、不合理な制度改革であり、健保連の主張とは大きく乖離したものとして「拠出金制度の存続・改悪の断固阻止」「医療費総額の実行ある抑制」「社会経済動向を反映した診療報酬等の引き下げ」「患者中心の医療の早期実現」を全健保組合の総意として決議し、公平・透明で簡明な制度創設を訴え、支払三団体との強固な団結のもと、真の医療制度改革の実現に邁進する決意を内外に示した。さらに「大綱」では、政府与党の考え方が大筋の方向で示されたが、なかでも高齢者医療制度は、「試案」の考え方を踏襲したもので、拠出金が財政調整の形で実質的に継続・拡大されることになっているなど、あまりにも問題点が多く、健保組合への財政影響を踏まえ、費用負担問題などの是正を、関係各方面に強く要請しているところである。
 小泉首相は、第164回国会の施政方針演説において、「医療制度改革は、国民皆保険を堅持しつつ、患者本位で持続可能な医療制度となるよう、予防を重視し、医療費の適正化に取り組むとともに、高齢者の患者負担の見直しや診療報酬の引き下げを行う。75歳以上の高齢者の医療費を世代間で公平に負担する新たな制度の創設、都道府県単位を軸とした保険者の再編・統合を目指す」としているが、今後、具体的な法制化やさらに法施行後も展望して、健保連の主張が反映された制度構築に向け、粘り強い活動が必要である。
 大阪連合会では、各健保組合・各地区会等を通じて、理事会や各委員会で医療制度改革について大いに論議し、建設的な意見を集約して本部に提言してきているが、公平性と透明性のある医療制度の実現へ向け、一層の努力を重ねていくこととしたい。


  ●総会の経過
 

 加藤会長が議長となり、総会の議事録署名者に、ユニチカ健保組合、大阪工作機械健保組合を指名、議案の審議に入った。
 なお、総会開会に先立って、近畿厚生局関原保険課長、大阪社会保険事務局小川保険部長からあいさつがあった。

   
 議案第1号
  平成18年度事業計画(案)
 議案第2号
  平成18年度収入支出予算(案)
 議案第3号
 

平成18年度支出予算の款内各項間の流用を理事会に委任すること
 

  以上の3議案を一括上程し、いずれも原案どおり承認された。
 議案第4号
 

平成17年度特別保健福祉事業推進助成事業会計収入支出予算
(平成18年3月17日理事会専決)
 本部総会において全国一括決議を受けている旨報告、承認された。

 
 
   以上のとおり、全議案の審議が終了した後、来賓として出席された健保連本部対馬専務理事から医療制度等に関する主な動きと今後について中央情勢報告があった。
   
 ○当日の出席状況
  出 席 180組合  
  委任状 28組合  
 ○来 賓
  近畿厚生局 保険課長 関原 正幸氏
  大阪社会保険事務局 保険部長 小川 敬三氏
  健保連本部 専務理事 対馬 忠明氏
  大阪連合会 特別顧問 松本 良諄氏
  岡澤 元大氏
    顧問 内田 一男氏
 
 加藤会長あいさつ (要旨)

 医療制度改革ですが、いよいよ国会の審議が今週から開始されております。
 その議論の土台になる政府案ですが、これまでの健保連組織一丸となった要請活動の効果もあって、高齢者医療制度に関する見直しの規定や、高齢者の支援金等の保険料としての明確化、保険者の実情に配慮した調整規定等が取り入れられたことは評価できると思います。ただし、まだ見逃すことのできない問題点が多々残っております。
 我々としては次の3点が今後の要請活動の重点になると考えております。
 第1は前期高齢者医療への公費の投入が必要不可欠であるということです。今後税制改革議論のなかでも、この公費投入のために必要な財源の手当てを強く主張していく必要があると考えます。これを踏まえて高齢者医療制度の見直しを早く行うように要求する必要があると考えます。
 第2は、新制度で負担することになる後期高齢者支援金、前期高齢者納付金、退職者給付拠出金は保険料とされていますが、法的な位置づけを明確にすることと、負担の算定方法が公平で合理的であること、上限を決めることを強く要求する必要があります。
 第3は、制度改革で中長期の負担額がどのようになるのか早急に試算するように要求する必要があります。我々にとって何より大切なのは今回の制度が持続可能なものであるかどうかです。ご承知のように、昨年の厚労省の試案で健保が2200億円負担増になるという数値が示されましたが、その根拠は再三説明を求めているのにいまだにはっきりしないのであります。
 今回の政府案で評価できることのひとつは、レセプトのオンライン化の実現の目標を平成23年と時期をきって進めることを規定していることです。これは我々にも大きな影響があります。
 IT化のための体制整備を待ったなしで計画的に進める必要があるからであります。
 韓国がオンライン化の先進国であることから、今年の3月に大阪連合会の村松副会長を団長に韓国へ調査団を派遣しました。その結果、分かったことはIT化の推進が大きな成果をあげていることです。とくに医療データの集積が進み、例えば風邪の治療のために抗生物質を多用している病院のワースト100のようなデータがすぐさま明らかにされていると報告されています。韓国を見習って、我々もIT化の推進のための取り組みを強化・充実させる必要があると考えます。
 このように我々にとっての課題が山積しておりますが、皆様にはぜひご支援ご協力いただきますようにお願いする次第です。
 本日の総会の議題は平成18年度事業計画および予算となっておりますので、十分ご審議いただきますようにお願い申し上げ私の挨拶とさせていただきます。


事 業 計 画
 
基本方針〕
(1)医療制度改革等に関する活動
   健保連本部との連携を一層密にして、真に公平で持続性のある医療制度を構築するため、粘り強く取り組む。
 

@健保連本部と相呼応しながら、理事会・委員会・地区会活動を積極的に推進する。
A政党・国会議員への要請活動は、健保連の主張を国政の場に反映させるため、一層積極的に推進する。
B行政機関とは、健保組合の円滑な運営のため、密接な連携を保つ。
C経営者団体および労働団体との連携強化や、医師会等医療関係団体との意見交換を通じて相互理解を深める。
D「かけはし」「ホームページ」などの広報活動を通じて、健保連の考え方の浸透を図る。
E保険者協議会の活動を通じて、医療費の適正化や効果的な保健事業の推進に取り組む。
F国保運営協議会および退職者医療関係団体協議会では、被用者保険サイドの意向を反映させる取り組みを行う。
Gけんぽれん病院情報「ぽすぴたる」への登録促進について、引き続き積極的に取り組む。
H健保連地域懇談会に大阪連合会の意見を反映させるとともに、近畿地区各連合会とも連携した活動を推進する。
Iその他、時宜に応じた諸対策を実施する。

(2)組織活動の継続強化
 

 大阪連合会の意思決定および情報連絡等が円滑に推進できるように、理事会および委員会活動を強化するとともに、緊密な連携のもと地区会活動の促進を図る。

 

@理事会および総会を開催する。
A必要に応じて、地区正副会長会議、各種委員会会議等を開催して対策を協議する。
B地区会を中心とした諸活動の充実を図る。
C新年互礼会(第41回)を開催する。

(3)組合運営に対する支援活動
   会員組合の円滑な業務推進に資するため、支援活動を実施する。

@会員組合に提供する情報の充実を図る。
A組合予算編成および組合事務に関し、行政機関および健保連本部と連携を密にして円滑に推進する。
B組合予算編成事務説明会を開催する。
C法律改正に伴う説明会を開催する。
D永年勤続者表彰伝達式を挙行する。
E会員組合に対する交付金交付事業を支援する。
FIT化推進に関する支援活動を実施する。
G会員組合に有効な健保事務相談、法律相談、レセプト相談等支援事業を実施する。

 
1.広報活動の推進
 医療制度改革に向けた広報活動の充実を図るため、次の事項を実施する。
(1)機関誌「かけはし」の発行

@親しみやすく読みやすいものとし、併せて広く対外的な広報誌としての誌面づくりおよびその充実を図る。
A次の項目を重点的に掲載する。
・医療制度等の改革。
・大阪連合会の事業活動。
・会員組合の財政状況と事業運営。
・大阪中央病院を支援するための広報。

(2)広報活動の強化

@会員組合の広報事業を支援するため「広報研究会」を開催する。
A大阪連合会ホームページを充実強化する。

(3)関係団体等に対する対外広報の強化
   次の関係団体等への機関誌配布を通じ、健保連の主張に対する理解促進を図る。

@地元選出国会議員
A経営者団体および労働団体
Bその他、必要に応じた関係者

 
2.会員組合役職員の資質向上と組合業務の改善・合理化の推進
 会員組合役職員が実務を実行する上で、今後必要と思われる制度改正の解説等実践的知識の習得が図られ、会員組合のニーズに応えられるような研修・講習会等、次の事業を実施する。
(1)会員組合役職員の資質向上に関する事業

@「事務長研修会」を開催する。
A「組合業務別実務講習会(適用・給付・徴収・庶務会計関係)」を開催する(制度改正にかかるものを含む)。
B個人情報保護にかかる研修を実施する。
C健保組合の実務に関する相談事業として、健保事務相談コーナーを開設する。

(2)組合業務の改善・合理化の推進に関する事業
    @「パソコン研修会(3日コース)」を充実する。
 
3.医療費等適正化対策の推進
  医療費等の適正化対策を推進するため、次の事業を実施する。
(1)行政機関・医療関係諸団体との連携強化

@大阪社会保険事務局との意見交換会を開催する。
A医師会・歯科医師会および柔道整復師会との意見交換会を開催する。
B大阪府保険者協議会との連携を図る。
C国保運営協議会委員の活動強化を図る。

(2)支払基金との連絡・調整の緊密化
@事務連絡協議会を開催する。
A審査委員との意見交換会を開催する。
(3)医療費等適正化に関する情報の収集と活用

@医療費の地域格差の是正を推進する。
AレセプトにおけるIT化を推進する。
B柔道整復・鍼灸療養費にかかる支給の適正化を推進する。
C高額レセプト点検結果を活用して医療費の適正化を推進する。

(4)レセプト点検に関する調査・研究の強化

@診療報酬の改定等に関する説明会を開催する。
Aレセプト点検に関する研修会を開催する。
B地区会レセプト研究部会に、審査・減点事例集およびレセプト点検の手引きを配付し、その活用を図る。
Cレセプト点検に関する情報を広範囲に交換し、調査・研究活動を推進する。

(5)医療対策室の活動強化

@高額レセプト点検取扱要領に基づき、レセプトの点検を実施する。
Aレセプト・保険給付相談コーナーを開設する。

 
4.健康開発共同事業の推進と保健福祉共同事業の実施
 「健康日本21」および「健康増進法」の趣旨を踏まえ、個人情報保護に配慮しつつ、会員組合における生活習慣病を中心とした疾病予防事業に重点を置いた健康管理事業の推進に寄与するため、健保連本部の健康開発共同事業の実施方針に基づき、生活習慣の改善に重点を置いた疾病予防や保健指導事業を、特別保健福祉事業と連動させ引き続き推進していくとともに、次の事業を効率的に実施する。
(1)健康教育の実施

@「健康教室」を開催する。
A「心の健康講座」を開催する。

(2)健康・体力づくり事業等の実施

@「健康セミナー」・「健康づくり教室」を開催する。
A「運動習慣普及のための健康づくり運動講座」を開催する。
Bプール利用券の斡旋を行う。
C健康ウオーク事業を後援する。

(3)保健活動の実施

@共同設置保健師保健指導事業の利用促進により実効ある保健師活動の普及と円滑な実施を図る(メタボリックシンドロームに着目した保健指導を行う)。
A個人情報保護については、健保連本部と連携して遵守義務等の徹底を図る。
B保健師連絡協議会への加入の促進を図る。
C健保連大阪中央病院の健康管理センターと連携し、会員組合の保健事業の推進に協力する。

(4)大阪府保険者協議会との連携を図る
(5)エイズ等感染症対策
    @エイズ等感染症に対する正しい知識の普及啓発に努める。
(6)特別保健福祉事業の継続実施
    @別途、本部方針に基づき計画する。
(7)共同利用施設の契約
    @体育施設・保養施設の共同利用の契約と利用促進を図る。
 
5.総合組合の運営助成
 総合組合の運営に資するため、次の調査・研究に関する事業を実施する。
(1)総合組合の実態に関する調査資料の作成
   

@地域型健保組合への対応・問題点。
A再編・統合と事業の共同化。

 
6.近畿地区各連合会との連携
 諸事業の実施に際しては、必要に応じて近畿地区各連合会と連携を図り、近畿地区での活動を積極的に推進する。
 

平成18年度収入支出予算概要(単位 千円)