医療制度改革大綱で示された「医療費の内容が分かる領収証の発行」について、3月6日付で厚生労働省保険局長より通知された。
その内容は、「保険医療機関等・保険薬局は、平成18年4月1日より患者から療養の給付に係る一部負担金等の費用の支払いを受けるときは、正当な理由がない限り、個別の費用ごとに区分して記載した領収証を無償で交付しなければならない。(4月1日までに体制を整えることが困難な医療機関等は6カ月の経過措置を設定する)」と療養担当規則に明確に記載して義務づけられた。
中央社会保険医療協議会で支払側と診療側で大きく対立していた部分である。全患者へ算定項目の一つひとつが分かる明細書の無償発行の義務づけを支払側が求める一方、診療報酬体系が複雑であることや、明細書発行の体制整備を行うにはコストがかかることなどから診療側は反対していた。
今も領収証を発行している医療機関はあるが、明細は分からず、患者は言われたとおりに支払っているのが大部分であり、診療等の度ごとに、時間を置かずに詳細な明細書を発行できるシステムを整えている医療機関は極めて限られている。
患者が自分の受けた診療内容およびこれに要した費用を確認することができ、ムダや水増しによる不正請求を防ぐことでトータルとして医療費の適正化につながることは大歓迎である。
しかし、医療機関等の不正請求は後を絶たない。厚生労働省が昨年12月に公表した「平成16年度の保険医療機関、調剤薬局に対する指導および監査結果」によると、不正請求にかかる返還請求額は、前年度比2億1000万円増の65億3997万円にのぼる。
不正・不当とされた事由は、医療従事者数の水増し(医師名義貸し、借りによるもの)、架空、付増、振替、二重請求、監査拒否等である。
これにより最も重い処分の保険医療機関等の指定取消は48件、保険医等の登録取消が35名となっている。
取り消しにかかる発端として保険者、医療機関従事者等および医療費通知に基づく被保険者からの通報が依然として多かった。
内容の分かる領収証発行の義務化と医療費通知は医療費の透明化のベースになるものである。
「電子化加算」の新設はあるが、医療のIT化を進めていく趣旨で、医療費の内容が分かる領収証を発行できる体制を早急に整備すべきである。
領収証をもらったら内容を確認し、不明なことがあったら医療機関に確認してみましょう。 |