広報誌「かけはし」
 
■2006年3月 No.414
時評


 「2005年までに世界最先端のIT国家となる」を目標に、「e-Japan戦略」は2001年1月、政府のIT戦略本部第1回会合において国家戦略として決定された。また、「e-Japan戦略」に続き、「2006年以降も世界最先端であり続ける」ことを目指す「e-Japan戦略U」が2003年7月に発表された。
 「e-Japan戦略U」の策定以降、医療、食、生活、中小企業金融、知、就労・労働、行政サービスといういわゆる先導的7分野の情報化については、重点的に取り組まれてきた。しかし残念ながらそのいずれの分野においても満足のいく結果を生み出しているとは言い難い。特に、医療分野ではまだまだ低いレベルにとどまっているのが現状であると言わざるを得ない。そのようななかで、「IT新改革戦略」が本年1月に決定された。「今後のIT政策の重点」として「21世紀に克服すべき社会的課題への対応」のトップに「ITによる医療の構造改革」が挙げられている。ITの構造改革力を最大限に発揮することが必要不可欠と現状認識し、各項目ごとに具体的な目標を設け、実現に向けた方策を打ち出し、評価指標をも示している。
 「e-Japan戦略」に端を発し、今回の「IT新改革戦略」に至る一連のIT戦略本部の構想と活動は、昨今の急速に変化する社会経済環境・世界情勢に即応し、流れを先取りする素晴らしい戦略である。したがって、ぜひとも積極的にその戦略に参画し推進役になりたいと思うところである。一方、身近なところで我々の日常業務に直接関係する事柄について振り返ってみると、その結果については、満足のいくものではなくさまざまな苛立ちを感じざるを得ない。レセプト情報管理システム導入対応について然り、被保険者証カード化について然りである。
 「IT新改革戦略」は国家戦略である。現状を見つめ、未来と世界を見据えてのIT改革が具体的かつ明確に示されている。我々健保組合が足踏みしている場合ではない。医療保険のオンライン化が外部要因で遅れがちであるのなら、まず健保組合同士でネットワークを組んで健保オンラインシステムを構築し、疾病の予防、医療の質の向上と効率化、医療費の適正化を図ることを率先して進めたらどうだろうか。世のなかの流れは早い。急いては事をし損じるが、ITを抜きにしては発展は望めない。様子眺めや横にらみもほどほどにして、目前にせまっているIT・オンライン化に真剣に取り組もうではないか。

  (光)