
松本重人氏 |
肥満には皮下脂肪の多い洋ナシ型と内臓脂肪の多いリンゴ型の2つの体型があります。重大な病気を発症しやすいのはリンゴ型の人。皮下脂肪はたまりにくいが燃焼しにくいのに比べ、内臓脂肪はたまりやすく燃焼しやすいのが特徴。しかし、内臓脂肪型の肥満は糖尿病や中性脂肪、高血圧、脂肪肝などさまざまな疾患の要因になるので、治療対象になります。内臓脂肪は身体的な要素、食べ過ぎ、運動不足、ストレス、女性の更年期、飲酒、喫煙などさまざまな要因で蓄積します。内臓脂肪の蓄積を発端に糖尿病、高脂血症、高血圧を発症した状態を「メタボリックシンドローム」と呼びます。
脂肪細胞から分泌される「アディポサイトカイン」には善玉と悪玉があります。善玉は動脈硬化を修復する物質を分泌しますが、悪玉は動脈硬化を進行させます。脂肪量が増えると、悪玉の分泌が増加し、善玉の分泌が減少するため、動脈硬化が進行し高血圧や心臓病の原因になります。メタボリックシンドロームと診断されるのはウエスト周囲径(へそ周り)が男性85センチ以上、女性90センチ以上に加え、「中性脂肪かHDLコレステロール」「収縮期血圧か拡張期血圧」「空腹時血糖」の3項目中2項目に異常がある場合。脳心血管障害を予防するうえでもメタボリックシンドロームを抑えることが重要です。
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