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漆葉成彦氏 |
統合失調症は、以前は精神分裂病と呼ばれていましたが、平成14年、日本精神神経学会の提唱で改称されました。発症しやすい年代は比較的若い人。かつては遺伝や家族が発症原因といわれていましたが、現在は「素因+ストレス仮説」が有力です。しかし、元々の原因は何か現在もよくはわかっていません。
症状には陽性症状と陰性症状があり、もっとも典型的な陽性症状は幻覚です。特に多いのが幻聴、体感幻覚、幻蝕など。被害・関係妄想も陽性症状です。陰性症状は正常にあるべき心理現象が欠落しているもので、感情の平板化や鈍麻、快感消失など。症状はなんとなく違和感のある前兆期から、幻聴が聞こえたり、妄想が活発化したりする急性期、意欲が低下し、睡眠が長くなる慢性期、そして回復期と移行します。初めて発病した人は入院後1年で約4分の3が完全寛解します。しかし、再発しやすいのも事実で、何回も再発を繰り返すと、回復しても元の状態までは戻りにくくなります。
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